第41章 輪廻 〜if〜 後
「何でもを。どんな小さな事でも、
ちょっと考える事があれば俺に話してみ?」
「うん…?」
わかったようなわからないような
曖昧な返事をした後で
自分でもどうかと思ったのか
睦は俺を見上げてきた。
わからない事ははっきりさせたいタイプ?
それとも、
中途半端な返事は出来ないのか。
割と真面目な生徒なんだなと
最近よく思う。
「何を言われるだろうとか
どう思われるだろうとか
俺には余計なこと考えなくていいから。
睦がそんなん苦手だってわかってるけど
俺になら言えそうだと思わねぇか?」
こうやって、
何か新しいことをさせる時、…
世間一般的には『普通』と言われる事だが
睦にとっては『特別』な事であって
それをさせようとする時、俺は緊張する。
半分くらい、
俺の希望が詰まっているからだろうか。
睦が俺の提案を
すんなり受け入れてくれるかどうかが
とても気になったりするのだ。
ガラにもねぇのは百も承知。
でもその緊張を、
「わかった…話すようにするね」
睦はいつも
いい意味で裏切ってくれる。
そういう所が、俺の心を持って行くんだ。
「だけど…」
おぉ、条件付きか。
睦は照れくさそうに
こちらを見上げ
「茶化したりからかったり…
1回でもしたら、2度と話さないから」
本当は少しだけ怯えている事を示唆した。
「そんな事しねぇよ」
絶対ぇしねぇ。
俺だってしていい事とそうじゃねぇ事は
わかっているつもりだ。
睦を悲しませたり
落ち込ませたり…
負の感情に引きずり込むような事を
俺が望むわけがない。
小さな身体をぎゅっと抱き寄せ
互いを更に密着させた。
「…先生、あったかいけど歩きにくい」
「踏まれねぇようにしてくれな」
「えぇ⁉︎踏まないようにしてよー。
ていうか離してくれたらいいのに」
「その方が難しいなぁ」
「…ん?」
楽しそうにしていた睦は
ふと考えるように空を見上げた。
「お前を離してやる方が難しいって言ってんの。
離したくねぇなーって事よ」