第41章 輪廻 〜if〜 後
「先生がお昼に居なかったから。
いつもなら絶対に、いるのに…。
私…先生のこと好きかもしれないって思ったから
その話をしたかったのに居なくて…
お前の話なんか聞かないって
言われたみたいな気になった」
悲しげに目を落とした睦に、
「お前そんな勝手になぁ…」
半ば呆れてそう言ってやると
「なったの!」
キッと目を吊り上げた。
「…悪かった」
数回頷いて続きを促すと
睦は気を取り直して口を開く。
「ここに来ても…なんだか淋しくて
もしかしてこのまま先生帰って来なかったら…
ずっと独りだったらどうしようって思ったんだ。
お昼に、先生に避けられたみたいに
どうしても思えたんだもん。
好きとかよくわかんないけど
でも先生がいないのはいやだ。
なのに先生いなくなったらどうしようって
そればっかり考えちゃって…」
言いながらボロボロ泣き出す睦が
『可哀想』ではなくどうしてか可愛かった。
泣いてる女が、煩わしいんじゃなく
可愛く見えるなんて初めてで、
溢れる気持ちに溺れてしまいそうになる。
嗚咽で喋れなくなった睦は
小さな拳で俺の肩を何度も殴りつけた。
責められているのに、嬉しいなんて
こりゃもう病気だ。
だが、…もう可愛くて仕方ない。
「笑ってない⁉︎」
そう、笑ってる。
違う、ニヤけてる。
「先生‼︎」
「悪ィって!…でも…、悪ィ」
どうしたって頬が緩むんだ。
こいつがそれを気にくわねぇんなら
ひたすら謝るしかできねぇや。
「お前を笑ってんじゃねぇんだよ」
睦は知らない!というようにそっぽを向いた。
「話したから下ろしてよ!」
機嫌悪くしても無駄だ。
不機嫌の理由が俺なんだ。
気分がいいったら。
「生憎、泣いてる女ほっとけねぇのよね俺」
「泣き止んだから下ろせ!」
「どこがだ」
止め方わかりませんくらいに泣いてるわ。
「うそつき!」
「ウソは言ってねぇ。
言ってんのは睦だろ。
全然泣き止んでねぇし」
「睦って呼ばないで!」
睦の怒りは止まらない…