第41章 輪廻 〜if〜 後
大して会話もしてねぇというのに
出会ってすぐ、
興奮したように好きだの付き合ってだの。
酒の場が多く
みんな酔っていたのもあるかもしれない。
でも別に、その時が楽しきゃいいと
こっちも適当に相手してきたけど。
面倒は嫌いだ。
絡まれるのも好かねぇ。
だから、そうするのが
当たり前のようになっていた。
だってこっちにそんな気ねぇのに
怒ったり泣かれたりしても厄介なだけだ。
こっちが悪ィ事をしたような気にさせられる。
それなのに、…
睦相手には
まったくそんな事にはならなかった。
最初はただ、
どうにかしてやらなくてはという
義務感からだ。
面倒くせぇどころか、むしろこっちから
世話を焼きたくて仕方なかったのに
あいつは俺の手を跳ね除けたっけ。
何をして欲しいのかを聞いた所で
まともな返事は期待できない。
だからもう俺は勝手に動くことにしたんだ。
この俺が、いつの間にか
まさかケツの青いガキに入れ込んで
そのガキが俺を好きだったことに
こんな幸せを感じるなんて…。
「先生ごめん。ごはん作ってない」
ここに居るために与えた仕事。
自分で食いたい物を作れるように、
与えた睦の仕事。
…俺がこいつの手料理を食べたかった、
から、だけでは決してない。
「作ってる場合じゃなかったんだろ?
俺に会えなくて淋しかったか?」
浮かれているのが自分でもよくわかる。
「淋しくなんかない」
「泣いてたじゃねぇか」
「淋しくて泣いてたんじゃないよ!」
「じゃなんで泣いてたんだよ」
「そんなこと知らない。もう下ろして!」
睦は子どもみてぇなごまかし方をして
抱き上げられている事に抵抗し出す。
「話したら下ろしてやる」
「なんで!」
「下ろしてほしいんだろ?
俺はお前が泣いてた理由を知りてぇから…
利害関係が一致すると思わねぇ?」
浮遊感が怖かったのか、
俺の首にしがみついていた睦は
バッとそこから離れた。
俺に見せた顔は不満げで
少しだけ悔しそうだ。
「先生が…」
もうひと押ししなければ話さないと思っていたが
この娘は思ったより素直なようだった。