第41章 輪廻 〜if〜 後
手首を優しく掴まれて、
私の足は自然と止まった。
空いた方の手が私の肘をそっと撫でる。
何事かと振り向くと
「悪い…!」
撫でられた肘の辺りが
赤くなっているのが見えた。
腕に痣が残った時の
私の恐怖を知っているからだろう。
あの男子生徒に同じ場所を掴まれた時も
ひどい不快感に襲われた…
その場に居合わせた先生は
すべてを察して私を助けてくれた。
あの時の洞察力は、
なぜ今、発揮されないのか…
「冷やすか、ごめんな…!」
立ち上がりかけた先生。
でも、
「……いらない」
先生だからかな…
私は平気だ。
「気ィ悪くすんなよ、悪かったって」
また勝手な勘違いをして
私の脇をすり抜けようとする先生。
——離れてしまう…!
そう思った瞬間、
すでに私に背を向けていた
先生のお腹に手を回して
私はぎゅうっと抱きついていた。
あぁ、これ…
この感じ。
先生だ。
「…なん…だ、おい」
驚いた声を上げる先生。
「冷やすのいらない」
「…いや、でも赤くなってるし、」
「びっくりしないでくれる…?」
「ん?なにがよ」
「今から言うこと」
「…聞かねぇとわかんねぇんだけど」
そりゃそうだろうけど。
「身構えててね、酷いこと言うから」
「…おー」
少し首をひねる先生を見上げながら、
私は意を決して口を開く。
「先生がつけた痕なら…
むしろ嬉しい、かも…とか」
「…っ……んん⁉︎」
渾身のひと言は、先生の胸に
突き刺さっ…た?
でもほら、酷いひと言でしょう…?
あり得ないよね、先生からしたら。
「待て…そ、……んあぁ?」
混乱を極めたせいで、
先生はさっきとは別人のようだった。
激昂から一転、
今度は混乱と動揺だ。
でも今なら、聞いてもらえそう…?
私は先生の背中に顔をうずめ、
「お昼に、あのクラスメイトに
抱きしめさせてって言われて、
ぎゅってさせてあげたの。
その時、なにかが違って…
私からも抱きしめてみたんだ」
お弁当を食べながら
先生に話すつもりだった事を口にしてみる。
「…ほー……ちょっと待て。なんで、」
「待って!質問は最後にして!」
今、…たった今伝えてしまいたいのだ。
「ハイ…」