第41章 輪廻 〜if〜 後
「あそこ…」
私はダイニングテーブルの上を指差した。
そこに目をやった先生は
「失くしたんじゃねぇんだな?」
また息をついた。
「ある…。
遅かったね…。帰って来ないのかと思った」
「なんだ、電源切ってあんのか?どんだけ電話したと思ってんだよ!遅くなるから知らせるつもりが出やしねぇ!お前さぁすぐ連絡つくようにしとけよ!何のためにスマホ持たせてあると思ってんだ!何かあったかと思うだろうが!」
「…ごめん、」
「あー…もう…心配したろうが…
よかった…」
肩に乗せられていた大きな両手がするりと滑り
背中を抱きしめられた。
先生のぬくもりを感じたら
ここにいるんだなぁと思って
…帰って来ないんじゃないかという懸念が
完全に払拭されて
じわじわと私の全身に浸透して来て…
抱きしめられていた逞しい腕の隙間から
自分の腕を引き抜いて
先生の首に強く抱きつかせた。
そんな事していいのかなと
いつもなら思うんだろうけど…
今日はそんなこと考えていられない。
そばにいてほしいと思った。
帰ってきてよかったとも思った。
「……」
先生は無言で、
驚いたように肩を揺らす。
私の行動を珍しく思ったに違いない。
だって私からこんなふうにした事ないもの。
それでも何も言わずに
私の好きなようにさせてくれた。
「心配、したの…?」
「するだろ!何があったかわからねぇんだ。
何か事件に巻き込まれたかもしれねぇし、
事故に遭ってたらとか誘拐されたらとか…
普段考えねぇ事まで考えちまうモンなんだよ」
「……」
「帰りの車でよく事故らなかったって
自分を褒めてやりたいね!あ″ー…まじで…
もう今週オワリだわ。疲れた、
俺明日から使いモンにならねぇからな!」
不思議な感じ…
「私のこと、避けてたんじゃないの…?」
「はぁ?」
「だってお昼…いなかっ、たからぁ…!」
「避けるってお前…」
私を離そうとした先生を
強く引き寄せて拒否をする。
「今まで1回も…
居なかった事、なんかなかったのに…!」
「何でそんな事で泣くんだよ」
「だって話があったのに…先生居ないから…」