第41章 輪廻 〜if〜 後
「櫻井さん!」
私はあの4階の渡り廊下で呼び止められた。
振り返ると、
トラウマになりかけたあの男子生徒の姿。
凝りもせず
この場でまた私に声をかけるとは…
もしかして自分のせいで私があぁなったと
気がついてはいないのだな?
私は軽く、苛立ちを覚えた。
ひと括りにするのは大変申し訳ないけれど
男っていう生き物は
こうも自分よがりなものなのだろうか。
そうではないと思っていた先生も、
結局は自分の気持ちを押し付けて来た。
確かにあの日以来、何も言って来ないし
それ以上の事はしてこないけれど…。
加えてこの男子生徒だ。
私があそこまでの変化を見せたというのに、
自分のせいだったのではないだろうかと
自分を振り返ってみる事もしない。
でなければ、またこうやってこの場で
声をかけるなんて事しないはずだから。
昼休み。
相変わらずひとりぼっちの私は、
お昼ごはんを美術準備室で食べるのが
日課になっていた。
私が、心の歩み寄りがないようにしているだけで
先生と仲が悪くなったわけじゃない。
こうなる前からしていた事だし、
先生のそばにいるのが嫌なわけじゃないのだ。
ただ、女として見られているかと思うと、
やっぱりちょっと怖い。
臆病な私に気がついている先生は
あの日から私に、
それについての何も言わなくなった。
それに甘えて、
私からも何も言わない。
あわよくば、
このまま無かった事になればいいとすら
考えていたのだった。
焦りすぎ。
そんなこと、百も承知。
だけど纐纈が睦に好意を抱いている。
それを感じ取ってから
俺はどうにもおかしくなっていた。
睦を誰にも取られたくないと
そう思ってしまうのだ。
今までの余裕だったり、
睦が卒業するまでの間
何も考えず安心して過ごせる場の提供とか、
そういうのをすべてぶっ飛ばしてでも
はっきりと言っておかなければと
自分でもみっともないほど焦った。
…そうしてしまったらどうなるか
火を見るよりも明らかだったというのに。