第41章 輪廻 〜if〜 後
私の顔が怒っていたのだろう、
「悪ィ悪ィ!まじで」
取り急ぎ謝罪を述べてから
「もっといいモンあった!」
先生は瓶をカウンターに置いて
もう1度、上の棚を開いた。
取り出したのは白い小箱。
なにをし出すのかと眺めていると
蓋をパカっと開いた先生が
小さな何かを指でつまみ
ティーカップのフチになにかを付ける。
大きな手が退かされ、
私の目に入ったのは
砂糖で出来た可愛い鳥だった。
まるでそこに止まって、
中のミルクティーを覗き込むような仕種が
たまらなく可愛い、砂糖の白い鳥。
「なんでこんなのがあるの?
先生絶対使わないよね」
「俺じゃなくて…。
どっか買い物行った時に見つけたらさ…
こんなん喜びそうだなとか、
そんな顔して笑いそうだなとか思って、
つい買っちまうのよね…」
ひぃい…私のためだって言うの…?
「…訊いてもいいかなぁ?」
「おー、何なりとー」
「いつから?」
「……小学校で習っただろ?
主語と述語を使え」
「察してよ!もー…いつから
そんなこと考えるようになったの」
だって普通食べ物を買う時は、
食べるか食べないかで判断するはずだ。
喜ぶか、笑顔になるか、なんて考えるのは
親しいとか近しい間柄な人間であって、
私と先生の間には成り立たないと思っていた。
しかもコレは、
生きていくために必要なものじゃない。
日々の生活を潤すための
『なくても大丈夫』なものだよ。
それをわざわざ買ってくれたのだ。
私が喜ぶ事を見越して。
「んー…割と前から。
まぁお前がここに住むようになってからだけど」
「……そう、」
「お前こそ勘違いすんなよ。
さっきのはつい口が滑っただけの話で
別に今すぐどうこうしてぇワケじゃねぇんだ。
それでなくてもお前は今、
慣れねぇ環境で大変だし
そもそも…ヤツが居なけりゃ俺だって
こんな焦ったりはしなかったワケで…」
終わりの方はボソボソ喋るから
何を言っているのかよく聞こえなかった。
でも何だか不満そうなのは確かで、
…こんな時にガシガシと頭を掻くのは
先生のクセだろうか。
「焦る…?」
と聞こえたような気がして
何となく訊いただけなのに……