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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第41章 輪廻 〜if〜 後





「話したよ。色々、訊かれたもん…」

「……」

悲しげなひと言を聴いて、
俺はやっと気がついた。
睦がずっと、おとなしくしていた理由。

ちょっと考えたらわかる事だった。
睦には、答えられる事が極端に少ない。
そんな事…俺が1番に気がついて、
配慮してやらなけりゃならなかったのに。

「ごめん睦。ほんと、余計な事した」

睦の気持ちを考えたら
どれだけツラいだろう。
友達ができるかもしれない期待と、
ちゃんと答える事のできない私生活。
明らかに隠し事をしているやつと
友達になりたいと思うやつなんか
ほぼいないだろう…。

「別に…そこまでしなくても…」

そう言いながらも、
巻きつけた俺の腕を振り解こうとはしない。
両腕をだらんと下ろしたまま
この腕の中でおとなしくしていた。

こうやって、抱きしめられると安心するだろ?
そのぬくもりすら知らずにお前は
今までどうやって過ごして来たんだろうなぁ?

「…あのさぁ、先生っていつもこんななの?」

くぐもった声が聞こえて
腕を回したまま、2人の間に隙間を作る。

あちこちに目を泳がせながら
俺にたどり着いた瞳は困惑を極めていた。

「こういう事って、普通にするものなの?」

「こういう事、…って、こうか?」

もう1度ぎゅっとすると

「そっそうだよ!」

慌てふためき

「いっつもだけど近いと思うんだよね。
こんなくっついてくる人
初めてなんだけど」

さすがに背を反らして離れようとする。
…離さねぇけども。

「…これは俺とお前の
安全な距離だと思うんだけど?」

「……どこが安全なの?
めっちゃ危険なんですけど」

「いや……まぁある意味危険だな。
わかるけど…だけどそうじゃなくてな、
…お前これ安心しねぇか?」

俺の胸に耳を充てた睦は
言われた事を飲み込もうとしているようだ。
安心するかどうかを
おとなしく確かめているみたいに見えた。

「なんか漠然とした不安があった時とか
悲しかったりツラかったりした時に、
誰かの体温を感じると
不思議と和らいで行くと思うのは
俺だけじゃねぇはずなんだけどな」


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