第41章 輪廻 〜if〜 後
いきなりそんな暴露をされたんじゃ
そりゃこんな反応にもなるか…
でもよ、
他人を信用できねぇ睦にとって、
誰かと関わる上で1番大切な事は
腹割って、全力でぶつかる事だよな。
ヘタに隠したって
疑心暗鬼になるだけだ。
「櫻井が嫌なら他の方法を考える。
だが1人では行かせてやらねぇよ。
いい方法を俺が考えてやるから」
「……わかった」
睦は残り少ないミルクを飲み干した。
「わかったのか?」
「わかったよ。今日から先生と車で行く」
「嫌じゃねぇか?」
「うん。車で登校とか贅沢じゃない?
ちょっと楽しそうだし」
ニッと笑う睦。
俺が本心で話せば、
こいつもちゃんとついてくる。
これを繰り返していけば
睦の傷も癒えていくのかなぁと
俺は漠然と思っていた。
本日最後の授業。
なんとも都合のいい事に
睦のクラスだった。
『芸術』という一括りの枠の中にある
音楽、美術、工芸の3つから選択できる授業。
自分で好きなコースを選べるから
割と人気のある授業だと思うのだが…。
「……櫻井…お前なに描いてんの?」
俺はもう、睦の後ろから
そう声をかけずにはいられなかった。
俺は割と放任主義。
生徒が何を描いていても
特に口出しはしない。
何故かと言えば、
これは選択授業。
それなりに技術のあるヤツや
表現力のあるヤツが集まる場だからだ。
写実的に物を描くのもいれば
芸術的に物を見るのもいる。
……ただ睦に関しては
芸術的すぎて何を描いたのやら
原型がわからないのだ。
別に責めてるのではない。
何を描いているのかを
俺が知りたかっただけの話。
単なる好奇心というやつだ。
俺の声掛けに
睦はキッと俺を振り向いた。
ひとつのテーマに向かい、
みんながそれぞれ思った物を描いているはず。
向こうでは自画像を描いてたな…
そっちでは隣の友人が筆を持つ手を描いていた。
あっちでは自分の思い描いた世界を……
で。
睦は?