第41章 輪廻 〜if〜 後
もっと自分を出せたら、
こいつと友達になりたいと思うヤツは
結構いると思うんだがな…
それにしても、…
この空間に響くのは
食器の当たる無機質な音だけ。
これでも睦は何とも思わないようで
プレートに乗っていたブロッコリーを
黙ったまま食べていた。
「なぁ、」
「……?」
口に物が入っているために声は出さないが
目をこちらに向けて、
『なぁに?』ときゅっと首を傾げる。
…その仕種は可愛いな。
「今日は一緒に学校行こうな」
睦はごくんと嚥下して
「なんで?」
ミルクの入ったグラスに手を伸ばした。
「お前の家からより、
こっちの方が距離があるからな。
バスも駅も遠いんだよ。
1人で行かせて、万が一の事がねぇように
しばらく一緒に行こうと思って」
「……学校まで一緒に行くの?」
「…そう言ったつもりだけど」
「歩き?」
「遠いっつってんだろ。車だわ」
呆れたヤツだ。
睦は開いていた瞼を
半分くらいに下ろして、
「思っ切りバレるじゃん」
アホなの?くらいの勢いで
当たり前の事を言った。
よくもまぁそんな目で
この俺様を見られるモンだ。
「裏口から入るくらいの配慮、俺にもある。
俺だって面倒なのはゴメンなんだっての」
睦を納得させるために
わざとそんな言い方をした。
本当はこいつが心配なだけだったのに。
だけど睦は
自分の為だとわかると逃げる。
そうさせないようにする。
だから、俺が困ると言わなければ納得しねぇと…
そう思ったのに、
一瞬、傷ついたような目をしたのを
俺は見逃さなかった。
俺の見当外れかと…
もしかしたら傷つけたんじゃねぇかと
背中の辺りがそわそわした。
ヘンな気を回すより、
どう思われてもこいつには
直球を投げた方がいいという事に気がついた。
「…悪ィ。俺がそうしたい。お前が心配だ。
1人にして、あの女に連れ去られたらと思うと
気が気じゃねぇ。そんな事になるくらいなら
バレようが何だろうが
俺が学校まで連れて行きてぇんだよ」
「……」
ミルクを飲もうとしていた手を止めて
睦はきょとんとこちらに目を向ける。