第41章 輪廻 〜if〜 後
ひと匙、シチューを口へ運ぶ毎、
私の中で幸せが生まれる。
その度に「おいしい」と
言わずにはいられなかった。
先生はめんどくさがらずに
毎回ちゃんと返事をしてくれて
私はそれにも心満たされていたのだった。
ひと晩明けて、月曜の朝。
もちろん学校だ。
私は制服に着替えてエプロンを着けた。
時計は5時を少しだけ過ぎた所を指している。
まだ辺りは暗い。
先生もまだ寝てる。
そのおかげで、
リビングで堂々と着替えが出来た。
私は今から朝ごはんの支度だ。
ごはん係に任命されたからには
きっちり責務を果たさなければ気が済まない。
キッチンに入り
とりあえず冷蔵庫を物色した。
私よりも随分と背の高い冷蔵庫。
そこには色んな種類の食材が入っていた。
しかも…仕分けが丁寧で
見やすいし取り出しやすい…
性格がよく出ている。
だけど、美術室の爆破が趣味みたいな人でしょ?
こんな繊細な技が使えるとは
到底思えなかった。
…もしや女でもいるんじゃ…?
ふとそんな事が頭をよぎる。
本当は彼女いるのに
私に関わったせいで…?
『悪ィな、厄介者の世話しなきゃならねぇから
しばらく会えねぇ』
って言いながら
綺麗なお姉さんを抱きしめている画が
容易に想像できる…!
まずい!
それはまずいよ先生!
私はもう朝ごはんの支度どころじゃなくなった。
そうだよ、
どうしてそこに気がつかなかったんだろう。
先生なにも言わないからさ、
…まぁそんなこと言わないだろうけど…
でもそんなヒトがいたって
全然おかしくないのに…!
いかにも遊び人そうなこの先生の事だ。
女が切れたことがないとか
そんな感じっぽいと思わないか?
私はベッドルームのドアを勢いよく開けた。
この寒いというのに
広いベッドの上で上掛けを抱っこした状態で
ぐーすか寝ている先生のすぐ隣に片膝をかけて
身を乗り上げさせると
「先生!話があるんだけど!」
おはようの挨拶もなしに本題に入った。
…寝ている先生はもちろん無反応だ。
「先生朝だよ!起きて!聞いて!」
必死で揺り起こそうとするけれど
大きくて重たい身体は
上手に揺さぶる事ができない。