第8章 続
そう言って私の着物の裾を払い、
露わになった足に手を這わせる。
その途端、ビクッと身体が波打って、
「ぁんっ…」
声がもれる。
何…身体が、おかしい…。
お腹の奥の方が、疼いて仕方ない。
私は逃げようともがくのに、
ちっとも力が入らない。
そんな私の様子を見て、男はニヤリと笑う。
次の瞬間、その男が
私の着物の合わせを目いっぱい押し開き、
胸をむき出しにさせると、
首筋に口づけた。
「…っい…いやあぁ‼︎宇髄さ…ん‼︎」
叫んだ途端、フッと軽くなった。
聞いたこともないような騒音と共に、
障子を突き破り、男が吹き飛ばされた。
そいつはその衝撃でのびてしまったらしく、
まったく動かなくなった。
「…おさまらねぇ…!」
低く唸ると、大きな影がその男の方に
向かって行こうとする。
私は慌てて、体を起こしてその影を止める。
着物の裾をひっぱられた事に気づいたその人は、
足を、止めた。
「…だめ…」
そんな勢いでは、
殺してしまいかねない。
「何がダメだ‼︎お前に触れていいのはこの俺だけだ‼︎それをこのヤロウ…!」
男の方を睨みつける。
怒りで、震えている。
「…う…」
障子に埋もれていた男が、
意識を取り戻したようだ。
数回頭を振ってから
宇髄さんを睨みつけた。
「き、さま何をした!この私にこんな…」
「黙れ‼︎てめぇこそ俺の女に何しやがった‼︎
拷問の限りを尽くして地獄に落としてやらぁ‼︎」
こんなに怒りを露わにしている宇髄さんは
初めて見る。
空気も震わす怒声。
私でも、怖いくらい。
宇髄さんは一度は止めた足を、
再びそちらに向かわせる。
自分にむかってくる男の剣幕、体格の良さに
瞬時にすくみ上がり
「…うわあぁあ!」
叫びながら逃げ出す男。
「待ちやがれ畜生め‼︎」
行ってしまいそうな彼を、
「宇髄、さん‼︎」
今できる限りの声で呼ぶ。
…だめ…やっぱり、おかしい…。
つらい…
両手を畳に付いて、項垂れる。
そんな私を見て、宇髄さんは慌てて戻ってくれる。
「大丈夫か⁉︎どうした、またぶり返したか?」
そう言って私を支え、着物を直してくれる。
髪を梳くようにして上向かされると
「…ん…、」
また身体が反応してしまう。