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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第41章 輪廻 〜if〜 後





「何で嬉しそうだよ」

カウンターの向こう側から
小さく吹き出した先生は
何やら楽しそうにお料理している。

…いい加減そうに見えて
実はマメで世話焼きなんだな。
こんな人、いるんだ…

私が出会わなかっただけで
もっと色んな人がいるんだろうな。

「私、こんなに誰かと話したの初めて」

「へぇ、もったいねぇの」

「もったいないかな」

「そりゃそうだ。くだらねぇ話でも
楽しいことはたくさんあるぞ。
お前学校でもずっと1人だもんな。
友達でも作れよ」

「えぇ?今頃?」

あと2ヶ月で卒業なんですけど。

「いきなりがっついてるみたいじゃん」

「なんか悪ィんか」

「なんて話しかければいいかわかんないし」

「今更だけどお友達になりたいのッ!…て」

先生は自分で言いながら吹き出した。

「絶対言わない」

「えー言えよ。隠れて見ててやるから」

「何でおもしろがってるわけ。
絶対しないから」

くくくと笑いながら
今度はIHに向かう先生。
大きな背中…
広いキッチンも狭く感じるくらい。

「私は何事もなく静かーに過ごすのがいい」

「はいはい。
オトナになってから後悔するタイプだな。
あの時やっとけばよかったって」

「おとなになった時のことなんか
今言われたってわかんないよ」

「そうなんだよなぁ…
後悔しねぇように、なんて
俺にだってわかんねぇや」

なんだそれ。

「じゃ何でそんなこと言うのよ」

「友人に関しては、
居てよかったと俺は思うからだ。
なんかあった時に頼る存在があるって事が
どんだけ大切かお前ならわかるだろ?」

「…わかる。…なら先生がぴったりじゃん?
先生友達になって」

「何で俺にはンな簡単に言えんだよ。
つうか普通同級生だろ」

顔は見えない。
すごく煩わしそうな声。
でも知ってるよ。
態度ほど、面倒には思っていないはず。

だって世話焼きだもん。
いい人だし。

「だって同い年じゃこの状況の私、
重すぎでしょ。どうにもならないじゃん。
経済力のある友達なんて
高校生には望めないでしょ」

「すっげぇリアリスト。
俺は気持ちの問題を言ってんだよ」

「気持ちだけじゃ生きてけないもん」


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