第41章 輪廻 〜if〜 後
「生徒相手にする話じゃなくない?」
「これからお前は生徒以上だろ。
同居すんだから。
家族…じゃねぇな。運命共同体…?
あ、ちなみに校長には許可得てるから」
「…校長先生が知ってても
他の保護者にバレたらやばいでしょ」
「おぅ、バレねぇようにうまくやれよ」
「わー…。先生かなりヤバいよね?」
「そのおかげでお前助かってんだろ?
住む場所ゲットしてんじゃん」
「…そうだけど」
そうだね。
他の先生だったら
こんなにすんなり行かなかったと思うもん。
ありがたいけど。
「何でウラがないのかが怖いんだけど」
「こんなに良くしてもらってるのに
なんで見返りを求めないのかって?」
「…うん」
「それがあった方が居やすいみてぇだなぁ?」
先生はまた手を動かし始めて
そのせいで私から目を離した。
「そうかも」
「じゃ時間ある時にメシ作っといてくれ」
「それだけ?」
「充分だろ。毎日自分でメシ作る女子高生、
割と少ねぇと思うけど。
手伝い程度ならよくある話だが
毎日がっつりはなかなかだぞ」
ごはんなんか普通に作ってたけど
普通じゃなかったようだ。
いよいよ私は変わり者なんだな…
だけどそのおかげで今助かっている。
無駄な事ではなかったみたいで救われた。
「俺も助かるしなー」
「…私がごはん作ったら先生助かるの?」
「そりゃそうだろ。仕事から帰ってきて
メシ作る手間が省けるワケだから」
「じゃあやる」
「そうか、じゃ交渉成立な。明日から頼んだぞ」
先生は自分が楽するフリをして
私にここに居るための理由をくれた。
何もしないただの居候より断然気が楽だ。
「うん…ありがとう」
「…礼を言うのは俺の方なんだけど?」
「なんで?」
「なんでって。メシ作ってくれんだろ?
なら礼言うのはこっちだろ」
「…お礼を言うようなことなの?だって
ここに居るための理由みたいなもんなのに」
「バカだなー、理由なんかなくても
お前の居場所はここになったんだよ。
妙な遠慮すんじゃねぇ」
バカ…
私ってバカなんだ…
変な所に感動する。
だってそんな事、言われたことなかった。