第40章 クリスマス
それならただ置いておいても
大丈夫って事だよ!
睦さんも
安心して食べてくれる事だろう。
そして睦さんなら
これを独り占めするわけがない。
一緒に頂きませんか?
って言ってくれる睦さんの笑顔が
目に浮かぶようだ。
私はウキウキで
箱の隣に天元様のメモを置いて
早々に部屋を出た。
もし途中で見つかったりしたら
何してるって怪しまれてしまうもの…。
「…っひぃ‼︎」
隣の天元の部屋から戻った私は
うまく声にもならない悲鳴を上げた。
そりゃそうでしょ‼︎
たった今!
ほんの今!
私は天元の部屋に置いてきたの!
あの箱絶対足があるんだ。
歩いて来るの、いや、走ってくるのよ、
超高速で!
私は恐ろしくて部屋に入る事ができない。
あまりの事に全身が震えてきてしまう。
うそだ。
…そうだ、天元の部屋…
私が置いた箱があるか確かめよう。
そう思って、隣の部屋の襖に目を向けた。
でも…
でもさ、無かったら?
たった今、私が置いたはずのあの箱が無かったら
本当に戻ってきた事を証明してしまう。
…それはそれで怖い!
だけどここにあるのも怖い…
なんで…何で戻ってくるの⁉︎
部屋に入れず、
かと言って箱から目を離せない私は
……困った。
この寒いのに
全身から汗が吹き出した。
襖に手を掛けたままそこに立ち尽くしていると。
「何かあんの?」
突然頭の上から声が聴こえて、
「うぁああぁあぁっ‼︎」
自分でもびっくりするような大声が出た。
びっくりした私にびっくりした声の主は
「おおぉ落ち着け‼︎」
私の両肩に手を置いて叫ぶ…
「落ち着けない‼︎アレなに⁉︎」
私はテーブルの上に乗っかっている
青い箱を指差して、
困惑している天元に訴えた。
「アレって…」
部屋の中に目をやった天元は
「あの青い箱か?」
のんびりと訊いてくる。
「そうだよアレ!天元がやったの⁉︎
なんでこんな事するのよ!怖いじゃないの!」
「え…何がだよ、怖ぇって何が…」