第40章 クリスマス
するとやっぱり、
襖にぴったりと張り付く形で、
俺のメモが飛ばされているのを見つけた。
それを拾い上げ
今度こそ飛ばされないよう
俺は箱の真下にメモを挟み置いた。
一見、見えないが
箱をどかせば須磨にでもわかるレベルだ。
そしてきっちりと、障子の隙間も埋めた。
コレでもう大丈夫。
誤解はないはずだ。
メモもなく、ただ箱が置かれているのを見て
何を思ったのかまではわからないが、
何らかの考えがあって
睦は俺の部屋にこれを置いたのだろう…
何を考えての行動かを知りてぇ所だが…
今日の俺は忙しい。
これから1つ、2つ約束がある。
申し訳ないが、ゆっくりあいつの帰りを
待っている暇はないのだ。
そうして俺は再び、
睦の部屋を後にした。
「えぇッ⁉︎」
離れから戻った私は
信じられない思いでそれを凝視めた。
テーブルの上に、
今離れに置いて来たばかりの青い箱が
置いてあったのだ。
…え⁉︎
戻って来たの⁉︎
どうやって!
足が生えて走ってきたわけでもあるい。
怖‼︎
そして気持ち悪‼︎
どうしよう。
…こんな気持ち悪いものは、
精神的にも完成しているはずの天元に
…請け負ってもらおう。
あの人なら、何が気持ち悪いんだと
受け流してくれるに違いない…
私はその箱を親指と人差し指で挟み
(何となく気持ち悪いから)
そーっと、天元の部屋に運んだ。
そしてそれを、
1番に目につくであろう文机の上に置いた。
乱雑に置くのも憚られ、
綺麗にまっすぐに置いてみる。
…祟られても厄介だ。
美味しいはずのお菓子が
悪霊でも取り憑いたバケモノのように見えた。
故に扱いも、自然と丁寧になる…
少しの歪みが気になって
何度も何度も何度も微調整を繰り返した。
だってほんとに気持ち悪いんだもん。
ごめんなさい天元。
ちょっと気持ち悪いから、
ここに置かせて下さい。
何か手紙を残した方がいいかなぁ。
でも、書くより話した方が早いか。
帰ってきてコレを見たら
きっと声をかけてくれるはずだし。
そうしたら開けてもらって、
異常がなければ一緒に食べたいな…