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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第40章 クリスマス





しばらく帰りを待ってみるけれど、
3人のうちの誰も、帰る気配はなかった。

……私もそれほど時間があるわけでもない。

年末で、普段よりもやる事が多いのだ。
天元も出かけているんだし、
自分にできる事を早めにしておかなければ
後々が大変になってしまう。

仕方ない。
これはここに置いて取り敢えず戻ろう。

見慣れない物が置いてあれば、
あの人たちなら
これなぁにと訊きに来てくれるだろう。

別に3人で食べてくれても構わない。
天元だってわかってくれる…。























野暮用から戻った俺は目を疑った。

さっき睦の部屋に置いて来た菓子の箱が
まったく同じ形で同じ場所にあったからだ。

あれ?
俺さっき、向こうに置いて来たよな?
しかもきっちりメモまで残して…。

あれには『後で一緒に食べよう』と書いた。
俺の字を知っている睦には
ちゃんと通じたはずだ。
それをあいつが突っ返すとは思えねぇ…

なんだ?
もしかして何か怒ってんのか?

…俺が睦の相手もせずに
忙しくしてるから?

いやいや、そんなバカな、
俺じゃあるまいし…
この年の瀬に、
睦がそんな事を思うワケがねぇ。
こないだだって、
早く用事を終わらせたいからと言って
俺と触れ合う事もせずに
家事へと戻って行ったではないか。

…そうだよな?

そんな事はないと思いながら、
あぁやって戻ってきた菓子を見ると、
自分が何か、あいつを
怒らせるようなことをしたのではないかと
あれこれ考えを巡らせてしまうのだ。

だが…隣の部屋に睦の気配は無い。

玄関に愛用の黒い下駄も無かった。
って事は、睦はまだ留守だ。

俺はそれを手に持って、

「…留守だろうが、入るぞ」

一応声をかけてから
睦の部屋を覗いてみる。

テーブルの上を見ると…
さっき置いたはずの青い箱とメモの
そのどちらも失くなっていた。
だが、…障子にほんの少しの隙間があり、
そこから強い風が吹き込んでくる事に気がつく。

部屋に1歩足を踏み入れ
辺りを見回してみた。


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