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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第40章 クリスマス





「うん…そうだね」

微妙な表情をして睦は
ぱっと襖の方にめをやった。

あぁ、そうか…。

「でもまだやる事があるから…」

そうだろうな。
そんな仕種だった。

「もうちっとゆっくりは出来ねぇの?」

「これでも忙しいんだよ?」

何故か、誇らしげに胸を張る睦。
それがまた、何とも愛らしい。

「やりたいことがあるんだ。
だから家事を早く片付けなくちゃいけないの」

「やりたいこと、って?」

「だから、ないしょなの」

「あぁ、そうだったな。……で、
来てはくれねぇのか」

俺は開いた片手を揺らしてみた。

それを見た睦は、
やっぱり少しの迷いを見せる。
それでも意思は硬いらしく……。

「…行きたいけど。やめとく」

流されてはくれなかった。

「おや、残念」

「離れられなくなっちゃうからね」

いたずらっぽい微笑みを浮かべて
睦はしなやかに立ち上がった。

「あ、そうだ天元、」

1歩を踏み出しかけた睦が
そう言ってこちらを振り向いた。

「おぅ」

再び本へと意識を戻していた俺は
戻って来た睦の意識を
瞬時に受け止めた。

「クリスマスって知ってる?」

「…あぁ」

知ってはいるが。
何故そんなことを言い出すのか。

そういう派手で華やかなのは俺専門。
普段から慎ましやかな睦の方から
そんな発言をするとは思ってもいなかった。
俺は少し驚いて、

「…したくなったか?」

つい先走った事を口にする。

「ん?…うん…そうじゃないけど。
天元なら知ってるかなぁと思っただけ」

……

曖昧な答えだな。
なにか思うところがあるはずなのに。

「へぇ…」

「ね、後でお買い物つきあってくれる?
お米がほしいな」

「あぁ、いいよ」

「ありがとう。よろしくお願いしまーす」

重たいものは俺の役。
買い物だろうが睦と出掛ける事に
変わりはねぇ。
急に振られた話題に気が行って、
俺はもう、クリスマスの事など
頭の中から消し去ってしまっていた…。







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