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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第39章 輪廻〜if






『俺に罪を負わせるなよ?』

頭を掠めたのはその言葉だった。

先生にそう言われたから
私が無理に話そうとしていると、
そう思われたのかもしれない。
まぁそれも多少はあるけれど、
もちろんそれだけじゃなくって…

脱却しなくちゃって…
もうこんな事しなくてもいいようになりたいって
……。

「先生に、迷惑かけるよ…?」

「んー、かければ?つうか、もうかかってんよ」

…そっか。
転がり込んでる時点でそうだよね。

「私色々めんどくさいし」

「知ってる」

「失くすのが怖かったの」

「そうか」

的を射ない私の言い回しに焦れるでもなく、
辛抱強く付き合ってくれる。
外堀から埋めたくて
わざと遠回しに話し始めた私は、
なかなか核心にたどり着く勇気が出なかった。

「もしかしたら、
私何もかも失くしちゃうかもしれないの。
それが怖くて、誰にも言えなかったの」

「そうか。言えなくて、ツラかったな。
何もかも失くす、…か。んー…そうだなぁ…」

私の話に頷いてくれた先生は
長い足を伸ばしお尻でズリ寄って
少しだけ距離を縮める。
それから山にした膝に自分の肘を乗せて
私に触らないように両腕を伸ばし
私の身体をぐるりと囲った。

触れる事なく、
抱きしめられているみたいな格好…

「ほら、これがお前のスペースな。
ここは俺が確保しといてやるから。
そしたら、失くならねぇだろ?お前の居場所だ」

「私の、居場所…」

きっちり1人分。
先生がこうしてくれている限り、
私の居場所は。失くならない…

「そ、櫻井睦の居場所だ。
俺がちゃんと作っといてやる。
そしたら、怖くねぇな?」

「……おとななんか、だいっきらい」

私を助けてくれる筈の人に
ひどい事を言ってみる。
ありがとって言うべき場面で、
ほんとの気持ちをぶつけてみる。

「あー…そうだったな。ごめんな俺おとなだわ」

嫌味でなく、先生はまっすぐにそう言った。

この人の言葉は、
直に私に突き刺さる。
迷子になる事なく、私に向かって来る。

いつもふざけてるくせに…
口も悪いし、適当大魔王なくせに。

そんなキャラじゃないじゃん。


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