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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第39章 輪廻〜if





だけど私の中に溜まりに溜まった猜疑心は
簡単に払拭できるものじゃない。

「悪い人、は、連れて来ねぇ…。
つうか誰も連れて来るつもりねぇけど…
ここ俺んちだし」

何言ってんの?のニュアンスだ。

そんなに、わけのわからないこと言ってるかな?

先生は私の顔を凝視めたまま、
次の言葉を待ってくれていた。
話すなら、今なんだろうなぁとぼんやり思った。

だけど、うまく口が動かない。
そのうち唇だけじゃなく、
指先もお腹の辺りも
くつくつと震え出して…
きっと心のどこかで、
話す事を拒否しているんだとわかった。

何をされて来たのかなんて事はいい。
だけど、
この人にどう思われるか…
それが何故か怖くて仕方ない。

それに、これを話せば全てが変わる。
全部なくす。
親も、家も、…学校生活も、…先生も。


そんな私を見て、
小さなため息をついた先生は
私を怖がらせないようにそっと近づいて、
距離を取ったまま床に座り込み
めいっぱい腕を伸ばして私の頭に手を乗せた。

さっきされたのと同じ、
あったかい手が、優しく私を撫でてくれる。

私が、こうされるのが好きになった事に
気がついているのかな?
触られるのを極端に嫌う私が、
この行為だけは許したから
せめてもの慰めに、…って事なのだろうか?

頭のてっぺんを何度も何度も撫でる手が
後頭部に周り、
ポンポンと軽く叩くような撫で方に変わった。
軽いその衝撃に
床に手をついて体制を整えると、
今度はそれが背中に充てられて
上から下へと撫で下ろされる。


先生の手は、魔法の手かなぁ?

私はさ、
誰かに触られそうになると吐き気がするんだよ。
男だろうが女だろうが、
知り合いだろうが赤の他人だろうが…
犬も猫もみーんな。
関係なく、吐きそうになる。
気持ち悪いんだ。
だから誰にも触られたくないの。

それがなに、これは。
安心するばっかりで
吐き気なんてちっともやって来やしない。

先生のあたたかみが、私の中に伝わるみたい…

顔を上げて
チラリと先生を見遣ると

「…お前の負担になったんなら取り消すぞ?」

少し後悔したみたいに顔を歪めた。


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