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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第39章 輪廻〜if





「じゃあとっとと食って、
終わったらその湿布交換な。
いつまで貼ってんだよ。
もうカッピカピになってんだろ。
剥がれなくなるぞ」

先生は冷え切って脂の浮いたハンバーグを
のつのつと咀嚼しながら眉をひそめた。
だってお守り代わりだったんだもん。

…え?剥がれなくなる?

「えぇッ⁉︎困る!」

「だろうね」

「早く言ってよね」

「言わんでもわかるだろ」

「知ってて当たり前だと思わないでよ」

「偉そうに言うことか。……あのなぁ、」

私たちの常識となりつつある言い合いの途中、
突然声のトーンを落とし
急激に真面目な顔になった宇髄先生。

私はその雰囲気に飲まれてしまい、
クッと息を凝らした…

「知ってて当たり前とは思わねぇよ。
でも、知らねぇ事は罪になる。
俺に罪を負わせるなよ?」

「……」

言葉が、出てこなかった。
スルリと意味をすり替えられて…。
何の事を言われているのかがわかりすぎて。

お前のタイミングでいいから、
ちゃんと話せと…
先生はそう言ったのだ。

お願いしたわけじゃないのに
こうやって保護してくれて
ごはんまで提供してくれている。
しかも多分、家には知らせていないないまま…。

ここまでしてもらっておいて
何の説明もナシなんて、
そんな話が通るとは私だって思っていない。
先生が何も訊かないのをいい事に
このままにしてしまおうなんて事も思わない。

私が行方不明になったとしても
母は警察には申し出ないだろう。
言えるわけがない。

私自身も知らないこの場所に
あの女がたどり着けるはずもない。
スマホはあそこに置いて来た。
GPSも使えない。


でも、
だからって安心してる場合じゃない。
世話になった人には
事情を説明するのが筋だ。

だけど…。


あれこれ考えていた私に
先生は訝しげに声をかける。

「おーい、腹減ってんだろ?
ぶっさいくな顔してねぇで早よ食え」

「……ひっど」

面と向かって
見た目を貶されたのなんて初めてだ。
自分で言うのもナンだけど、
私、総合的に見て悪くはないと思うんだ。

普通なら怒る所なんだろうけど、
なんだか可笑しくなってしまい
ちょっと吹き出した。

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