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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第39章 輪廻〜if





多分、事情を知られているだけに
すごくやりづらい。
どれだけ上手く言い訳をしても、
本当の事が知れているのであれば
ただの茶番だ。

それなのに何も訊いて来ない。
行動を起こさないこの人に
私の苛立ちは募る一方だった。

わかってて、放置?
それとも気を遣われているのか。

どちらにせよ煩わしい。
同情されたって何の得にもならない。

「ほっといてもらいたいんだけど」

「何でよ」

「中途半端に関わらないでってば」

「お前の言う中途半端が
どういう事かは知らねぇが、
学校ん中で調子悪ィ生徒を放置する教師って
問題アリだと思わねぇ?」

「……」

「世間的に俺の立場が危うくなんのよ」

この人はそればっかりだ。
ある意味清々しい。

「世間体ってヤツ?」

「世間体…っつうか、…職を失うのがなぁ。
厄介だろ?また1からだぜ?
履歴書書くとこからやり直し。
めんどくせぇだろ」

…そっちか。

「教師が好きだからとかじゃないわけ」

膝に顎を乗せて、目だけで見上げると
先生は窓の外を眺めながら
ははっと笑った。

「まぁねぇ。ここじゃ
好きな事させてもらってるしな。
好きかもしれねぇな」

その笑顔がやけに輝いて見えて、
あぁこの人は、
光の中にいる人なんだなぁと思った。

「お前みてぇのも救ってやれるしな」

ぼそっとひと言…。

私は聞こえていながら、
聞こえなかったフリをした。
本当に関わってほしくなかったから。

「さ、で?調子はどうなのよ?」

「悪くない」

「そうか、何してた?もう帰る時間過ぎたぞ」

先生は教室を振り返り
私の机の上に目をやった。
その上に散らばるプリントを見て、

「…お前やらかしたな?」

ニヤリと私を見下ろす先生。
くそう……

「うん…」

伊黒っちの授業でやらかした事を
すぐに見抜いたらしく、
軽い足取りで机まで行き
そのプリントを手に取った。

「うーわ何だこの記号。
お前こんなんわかんの?頭痛ぇな」

追加で課せられた課題。

「高校でやったでしょ?」

「俺高校行ってねぇのかな」

「そんなわけないじゃん」

教師までなってんのに。



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