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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第39章 輪廻〜if





放課後。

1日の授業を終えて帰る時間だ。
…私を除いては。

伊黒っちのおかげで、私は居残り…
…いや私のせいか。

窓の外では、
たくさんの生徒の楽しそうな声がしていた。

その声につられるようにして
席を立った私は窓辺へと歩み寄る。
そこから見下ろすと
校舎から門までの短い道のりを
戯れながら笑い歩く人たち。

もしかしたら私も、
あの中の1人になれたかもしれないのに。
それがどうして出来なかったんだろう。

こうして見ていると
友達と笑い合うなんてこと、
いとも容易く見えるのに…。
積分法の問題を解いている方が
私には簡単な事に思えるんだ。

高3にもなって
人との関わり方がわからないなんて
誰かに相談すらできないよ…
だってそもそも
相談する人への関わり方がわからないんだから。

だいたい誰に相談なんかするんだ。


窓ガラスに吹き付ける強い風。
空を覆う暗い雲。
そのせいか、今日はすごく寒い…

「…好きなヤツでも居んの?」

「ひぃやぁ…っ‼︎」

背中から覆い被さるようにして
窓に手をつき、
同じように階下を見下ろしたその人は
私の頭上から声をかけた。

私は驚きのあまり、
どこから出たのか自分でも不思議な程
おかしな悲鳴を上げながら、
その場に蹲った。
…腰を抜かした、
と言った方が正しいかもしれない…

「おい大丈夫か?」

若干目を見開いて
体制を崩しもせず宇髄先生が私を見下ろす。

「だ、大丈夫に見える⁉︎
気配消して近づくのやめてよ!
悪趣味!変態!」

びっくりしすぎて怒りが込み上げて来た。
ほんっとに腹が立って仕方がない。
どんな悪戯?
まじで悪趣味!めっちゃむかつく!

「悪ィ悪ィ。
んなびっくりすると思わなかった。ホラ」

立てという事だろう。
当たり前のように手を差し伸べられた。

煩わしいなぁ。

友達は欲しいと思うけど
相手がこの人じゃ話が変わってくる。

「……結構です」

私は膝を抱えて小さくなると
そこに顔をうずめてやり過ごそうとした。

「…腰抜かしたか?」

そう訊いてから
そんなばかなと思い直したように首を振り

「またどっか悪ィのか」

質問を重ねる。


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