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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第39章 輪廻〜if





…だからか。
こんなに清々しい気分なのは。

いつもはうるさい母親からの
連絡が届かないから。


…じゃあもうそれ、いらないな。


「そっけねぇスマホ」

ぷっと吹き出した先生。

「そっけない…?」

「仮にも女子高生だろ?
待ち受けとか設定しねぇのかよ」

「…別に。必要ない」

「俺の顔でも設定しとけば?」

先生は画面を左にスワイプさせて、
カメラの画面にしてから
自撮りモードに変え、
スマホをかざしてポーズを決め始めた。

私を慌てさせて泣き止ませる魂胆か。
まさか本当に撮らないでしょと…
高を括っていたら
私のスマホがカシャカシャと鳴り出して…

「ちょっと‼︎勝手な事しないで!」

本当に撮影し出した。

私は慌てて先生に飛びかかる。

「スマホ開いた時に俺の顔見えたら
それだけでアガるだろ?」

ホントのアホか!

「何言ってんの⁉︎…かえ、して…」

返して、欲しいかな…?

それ、無かったら無かった方が、
いいんじゃないかと思う。

だって、今どこだとか
何時に帰るかとかそんな事ばっかり。
スマホが失くなれば
GPSで監視される事も、
今日はどこそこのホテルだからとか、
そんなふうに呼び出される事もなくなる。


ストンと落ちた両手。

「私…やっぱりいらない。
それ、…あげるよ、」

私はすごすごとベンチに戻り、
さっきもらったパニーニを食べようと
包み紙を避けて両手に持った。
半分だけ紙から出してかぷっとかじり付く。

美味しいはずのそれは
もう味すらしなくて
食の楽しみは私の中から全て消え去った。

じゃあ私、何が楽しいのかなぁ。

「俺お前に恵んでもらうほど
困っちゃいねぇんだけど」

先生は隣にどかっと座り
私との間にスマホを置いた。
それから盛大にため息をついて
背もたれに大きく寄りかかる。

私は右耳にマスクのゴムを引っ掛けたまま
もそもそと食べ続けた。
しっかり食べなくちゃ。

私の右側に座った先生には
左の頬を見られる心配はない。
もう、1度見られているのだから
隠す意味なんかないのかもしれないけれど
…だけど、曝すのは嫌な気分。


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