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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第39章 輪廻〜if





「もう買った」

昨日とは違う菓子パンを掲げて見せた。

「見りゃわかるけどよ。
じゃソレ俺食うから、お前コレな」

「え…なんでわざわざ」

「何でってなんだ?
俺がコレをお前のために買ってきたからに決まってるだろ」

「…意味が、わかんない、」

「わかれ」

なんなのこの人…
絶対おかしいって。

私が座っていたベンチの隣に
乱暴に身体を投げ出して

「あぁ、…こんなに食えねぇか。
半分こしてやるからな」

白い紙に包まれていたパニーニを
大きな手で丁度半分にちぎった。

綺麗に半分。
紙に入った方を私に持たせてくれて
ちぎった方を自分の口に咥えた。

…あれと、半分こした。
半分こ……

つい、自分が持っているものと
交互に見比べてしまう。

「…あんだ?」

それを不思議に思ったのか
先生は私の手から菓子パンを取り上げようとしていた手を止めた。

「なんもない」

私は自分の気持ちを押し殺す。
誰かと半分こなんて生まれて初めてした。

それがちょっと嬉しかったなんて
とてもじゃないけど言えなかった……

くだらない。

「ふぅん…。ソレ寄越せ」

「なんで」

「食えねぇだろ」

勝手に食べられないと決めつけられると
それに反発したくなる。
自分でも思うけれど、厄介な性格だ。

「食べる!」

宇髄先生に取られそうになったパンを
ぎゅっと掴んだ。

「あ″!何してんだよ、潰れんだろ!」

「私のだもん」

「わぁかったよ。絶対ぇ食えよ」

私をジロリと横目で睨んだ。

背もたれに片肘を掛けて
腰で座り長い足を投げ出した先生は、
パリパリといい音を立てて
パニーニを食べ出した。

少し冷めたのか、
チーズの伸びも落ち着いているみたい。

「…先生それだけ?」

「んぅ?おぉ」

「少なくない?」

でっかいくせに。

「少ねぇよ」

「何で自分の買ってこなかった?」

「櫻井が
また自分のくれると思ってたからよー」

何それ。

「私が意地悪みたいじゃん。
いいよもう、あげる」

私はさっき渡さなかったパンを
先生の方に差し出した。


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