第39章 輪廻〜if
「はぁあ⁉︎」
何言ってんの?
「ほら、コレ代わり。
代わりに俺のやるとか言っときながら
まだやってなかったもんな。
これ食ってイイコで待ってろよ」
ぱっと鞄を奪われて
代わりにポンと手に乗せられたのは
ローストビーフのお弁当……
こんなの購買で売ってない。
見たことない。
わざわざどこかで買ってきたものなのに。
「ほれ、特別にここに座らせてやるから」
いつも自分が座ってるっぽい
ムダに大きな黒いワークチェア。
背もたれの部分をぽんぽんと叩き、
「腹減ってるとイライラするからなぁ?」
にっこにこと笑う…。
「待ってよ…」
私はただ呆然としていた。
ワケがわからない。
「あの菓子パンの代わりがコレ?
おかしいんじゃないの」
「おかしかねぇだろ。
俺あん時まじでアレ食いたかったんだ。
牛乳と一緒に食ったのは初めてだったな…
でも美味かったし、またああやって食お」
「おかしいって。私こんなのいらない。
なに?同情してんの?すっごいムカつく」
「なぁんでこの俺様が
お前に同情なんかしなきゃなんねんだよ。
つまんねぇこと言ってねぇでとっとと食え。
ソレあと数十分で、消費期限なんだぞ」
そう言われて
私はお弁当のラベルを見下ろした。
確かに、消費期限14時30分って書いてある。
「でもだからって、
その時間ぴったりに傷むわけじゃない…」
「何言ってんのお前。
その表示の時間過ぎて食ってだぞ?
万が一、腹でも壊してみろ。
文句言えねぇじゃん。わざわざ表示してあるのに
時間過ぎてから食ったんですよね?って
言われて終わりだろ」
「そんなこと誰が言うの…」
「店のヤツに決まってんだろ。
ンなつまんねぇ事になる前にとっとと食え!
もう授業始まるし、
俺はもうその時間内には食えねぇから」
どう考えても私を引き止める為のワナだよ。
しかもこんな豪華なお弁当を
わざわざ外で買って来たというのに、
あんな120えんの菓子パンと交換なんて
怪しいにも程がある。
「教師をそんな目で見んな。
ほら座って食えよ?」
予鈴が鳴り少しずつ集まって来た生徒の気配に
先生はうそかほんとか焦り出した。