第39章 輪廻〜if
お昼ごはんは、購買のパン。
お小遣いもろくにない私は
菓子パンと牛乳を買うだけで精一杯。
教室は賑やかで、
仲良し同士で楽しく食べる。
別にハブられてるわけじゃないけれど
私はいつも1人だ。
天気は晴れ。
それでもやっぱり、
私の心は真っ暗闇だ。
昨日の感触がこびり付いて離れない。
シャワーで流しても
どれだけ洗ってもずっと残ってる。
気が滅入る。
あー…
私も、慣れたらいいのにな…
外で、食べようかなぁ…
私は買ったパンと牛乳、
スマホを持って教室を出た。
やって来たのは北校舎と南校舎を繋ぐ
4階の渡り廊下。
特別教室しかないこの階は
この時間の人通りは皆無。
それでなくてもこの冷え込み。
こんな所にわざわざ来る生徒なんかいない。
燦々と降り注ぐ太陽。
少し乾いた冷たい空気と
日差しの強さのギャップが気持ちいい。
パンを買ったものの食欲が湧かなくて
そこに置いたまま、ごろりと寝転んだ。
大の字になると高い所に空が広がっていて
ゆっくりと白いちぎれ雲が流れていく。
…あぁ、このまま時間が止まらないかな。
それかこのまま眠ってしまって
ずっと夢の中にいたい。
ギシギシ軋む身体をめいっぱい伸ばした。
縮こまった身体はツラい。
こうして伸ばしてやると、
ほんの少し、自由を手に入れたような気がした。
太陽が雲から顔を覗かせた途端、
強い日差しが照りつけて
私はその眩しさに目を閉じる。
太陽は、淋しくないのかな。
こんなに眩しく輝いているけれど
誰もが目を瞑ってしまう。
少なくとも、私はまともに見られない。
私を見て、って思わないの…?
でもこれだけ瞼を刺激してくるんだし、
存在を植え付けるには充分か。
羨ましいな、知らない人なんていないもの。
私みたいに、
隠れて生きる必要はないの。
……。
ふと日がかげった。
赤く見えていた視界が青暗くなって
また雲が横切ったのかと思って目を開けた。
太陽や月の前を
雲が通り過ぎていく様を見るのが好きだ。
「………」
「おぉ、生きてたか」
「…ちがう」
目を開いた私が見たものは
太陽の前を通り過ぎた雲じゃなくて
太陽と私の間に入り込んだ大柄な先生。