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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第8章 続




3日間寝る、という事は、
思ったよりも体力が落ちるらしい。
家からここまで歩くだけで、
山の上まで
全力疾走したような疲労感が私を襲っていた。

「睦ちゃん、大変だったのねぇ」

おばちゃんは重湯を私に差し出した。

「病み上がりでこんな所までよく来られたよ」

「…うん…ごめんね」

「何で謝るの。体力が戻るまでここにいなさい?」

「おばちゃん…ありがとう。
私、おばちゃんがいてくれたらもういいや…」

力無く言う私の頭を撫でてくれる。

「何を言ってるのかね、この子は」

あははと笑うが、笑い事じゃないのよおばちゃん。

「疲れたろ?上に布団敷いてあるからもうおやすみ」

おばちゃんの優しさが身に沁みる。
ホッとする。

「ありがとう」

私の目に溜まった涙なんか見て見ぬフリ。
この人なしでは、私は生きられないと、
また思い知らされるのだった。










翌日、私はおかゆを食べさせてもらい、
家事の手伝いをしていた。
2人はもちろん、お店に立っている。
私もお手伝いをしたいけど、
体力の戻っていない私が店に出た所で足手まといだ。
洗濯や洗い物をして、
少しずつ慣らしている段階だった。

たまにおじちゃんがこちらを気にしてくれて、

「倒れてないかー」

などと冗談を言ってくる。
私の様子がおかしいのを、
おばちゃんから聞かされたのだろう。

「ふふー、まだ大丈夫よー」

「まだって何だい。ムリすんじゃねえよ?」

「はーい」

わざと明るく話してくれる。
おじちゃん無しでも、生きられそうにないや。





お昼も過ぎ、客足も落ち着いた。
たたんだ洗濯物を2階に運ぼうと
階段をのぼっていると、

「睦ちゃん、宇髄さんがみえてるよー」

下から、
夕方の準備をしていたおばちゃんの声。

…誰が、…何をしに?
私を心配するフリをして、言い訳をしに?

一瞬止まった私の足。
次の瞬間には一気に駆け上がっていた。
そのまま、自分にあてがわれた部屋に入り、
障子を閉めた。
鼓動が、早鐘を打っている。

ちゃんと、
話しをしなくちゃいけないのはわかってる。
でも、…もう少し待って欲しい。
…今、会いたくない。





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