第38章 金魚の昼寝
もう一方も肩からするりと剥いてやり、
浴衣は睦の肘に引っかかるのみ。
そこを隠そうとする両腕を捕まえて
柔らかい胸に顔を埋めた。
「…ん、っ…や、離して…ぇ」
めいっぱい力を入れて
腕を解放しろと訴えてくる。
今更抵抗された所で
「もうムリだ」
待ってやれねぇし、やめてやれねぇ…
「っやぁあ…」
俺を振り解こうとする邪魔な手を
畳に押し付けて阻止しつつ、
仕種ほど嫌がっていない睦の胸を
かぷっと甘嚙みする。
——あれ、これはよ確か
俺の肌が冷たくて気持ちいいって事で
涼を取ってたはずなんだよな?
それがこんだけ熱くなっていいモノか…
「あ、ん…!」
主張しきった先端を口に含んで
舌先でなぞるように転がすと、
あれだけ力を込めていた腕から
ウソのようにスッと力が抜けていった。
背中は反らし喉元を仰け反らせて行くものの
やめさせようという気はないらしく
睦の気持ちはきっと
快楽を求める方へと傾いて行ったに違いない。
「ん…天元、…」
涙を溢れさせながら熱っぽく俺を呼ぶ。
それだけで、どうされたいのかがわかってしまう。
睦の顔の横に両肘を突いて
華奢な身体に押し付けるようにのしかかった。
俺の脇下から腕を伸ばして背中を抱きしめ
縋りつきながら睦は顎を上げる。
言葉ではなく、
そうやって態度で口づけをせがむ。
それがまた、この心を攫って行くんだ。
ただ、お前のいいように…
ちゅ、と、ご挨拶程度に優しく触れ合わせ
それを受け入れたのを確認してから
探るようにして徐々に深めて行く。
背中に添えられた睦の手が
ぐっと浴衣を握り込み
そのまま腰の方へと引き下ろされた。
どうやら俺に、脱げと言っているらしい。
まぁ自分だけ乱されていちゃあ
落ち着かねぇモンか…?
畳に突いていた肘を片方ずつ順番に袖を抜き
諸肌脱いでやると、
自分も同じように袖を抜いて上体の素肌を曝す。
再び俺を抱きしめて
今度は睦が俺の肩に歯を立てた。
「…っ…オイ、」
珍しく積極的な態度に背筋が震える。