第38章 金魚の昼寝
それだけで頬を上気させる睦が愛しくて
それ以上ないくらいに引き下ろした指を
帯に沿いクッと横に伝わせる。
隙間が出来た程度だった合わせが大きく開き
柔らかい乳房がふるんと弾むように零れた。
いつものように嫌がる素振りを見せないという事は
こいつの心も既に整っているようで…
よっぽど欲に飲まれているのか
それとも首筋への悪戯に持っていかれているのか、
ただ目を閉じて俺にされるがままになっている。
どこまで許されるのかと、
柔らかく豊満な乳房を
下から持ち上げるように掴んだ。
「…っ」
恥ずかしそうに顔を背ける仕種が
俺の気持ちを昂らせて行った。
柔らかい頬に口唇で触れる。
その感触にパチっと目を開き、
こちらを見るのかと思いきや
途中で思いとどまって顔面を真っ赤に染めた。
なんだ、
照れてこっちが見られねぇって…?
途方に暮れたようなそれが、
可愛くて愛しくて
自分の熱がぶわっと一気に上昇したのがわかる。
こいつ…いつまでこうなんだ…!
何度しても慣れる事をしない。
どれだけ身体を重ねても
絶対に当たり前にはならねぇんだ。
それが俺の胸を焼くんだよ。
熱を持った身体。
柔らかいそれの感触を楽しむように
やわやわと手の内で弄ぶと
強く唇を嚙み、きゅっと目を閉じた。
不規則に身体を震わせる睦の
真っ赤に熟れた唇をペロリと舐めた。
「…やめろ。傷つく、」
「…ん」
強く引き結んだ唇をほどくまで
何度も繰り返し、
仕舞いには上唇の裏側へと舌を伸ばし
わざと優しいタッチで触れる。
その瞬間、
「っんぁ…⁉︎」
ぷはっと吐息が漏れるくらい
勢いよく唇をほぐした。
「ほら見ろ…痕になってる…」
咎めるように言った俺は
歯形のくっきり残る睦の下唇を
自分の口唇で挟み
赤く残った痕に舌を這わせる。
それにすら感じてしまうのか
睦は相変わらず
俺の浴衣を握り込んではなさねぇ。
「…こんな事していいのは、?」
ぴたりと動きを止め、
ただそこに舌先を充てがったまま
目だけ上に向けて睦を凝視めた。