第38章 金魚の昼寝
その仕種がやけに思わせぶりで
簡単に煽られてしまう…
とことん、俺を悦ばせる心づもり…?
それならそれで、大歓迎だ。
どうせここまで来たら止まれはしないのだから。
止まない口づけに苦しさを感じ出したのか
睦は少し身をよじり始めた。
仕方なく、唇だけ離してやる。
「…は、ぁ…あ、あぁ…っ」
きっと、
『やだ』の類の言葉を発しているのだろう。
荒い呼吸から、よっぽど苦しかったのが窺えた。
嫌がったわけではなさそうで
やっぱり悦んでいる自分。
「あ、んん…っ」
少しは酸素を取り込めたと踏んだ俺は
やめられない口づけを再開させる。
可愛すぎる反応に、もうぎりぎりだ。
口づけするだけでコレ。
こうなると、
先を急ぐのが躊躇われる。
ゆっくり、コトを進めたい。
だって睦がその気になっているのだ。
こんなの、ツチノコ見つけるくらい珍しい…
俺の手をぎゅうっと握りしめて
それでも睦は逃げもせず
俺の事を受け入れ続けた。
咥内を余すことなく舐め取ってやろうかと…
多少狂った事を考える。
今日の睦なら、
それも許してくれるような気になった。
睦の舌を自分の口内に招き入れ
根元に軽く歯を立て、強く吸い上げると
びくりと肩を竦ませ
大きく跳ねた腰から全身へ向けて痙攣させる。
「…っ…ふ、…ぅんん…」
小さな余韻を繰り返す様は、
…達した時そのもの。
「…よかった、?」
口づけだけで?
「…ん、…すき、」
「…かぁわい」
すき、だって。
それは俺のこと?
すげぇ、可愛い…
ツツ…と中指で浴衣の合わせを割っていく。
柔らかい胸の谷間が露わになって
微かな汗の匂いと相まった甘い香りが
俺の鼻腔をくすぐった。
それは頭を揺さぶるくらいの眩暈を与え
簡単に理性が崩れ去っていく程の衝撃だ。
歯の表面でかしかしと首筋をくすぐると
全身を引き攣らせながら
「…ん、あぁ…っ」
俺の腕のあたりに余った浴衣を
両手で強く握り込む。
痛いのを嫌がる睦には
こんなふうにくすぐる程度のしつこい愛撫を。