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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第38章 金魚の昼寝





「…やめとけ」

ふるりと全身を震わせる彼。
珍しく、少し戸惑っているような、…
焦りを含んだような声に
ぞくりと何かが背筋を駆け上った。

いつもはやられてばっかりの私だけど、
たまにこんな事故みたいな事が起きると
ぞくぞくして、どきどきしてたまらない。
普段は余裕でいる天元が
こんなふうになる所を見ると
私だって嬉しくなってしまうのだ。

…ちょっとだけ、申し訳ないような、
悪い事をしているような…?

だけど、

「…気持ちいい」

冷たい彼の肌が気持ちいいのが
やめられない1番の理由。
この人と比べるとわかる、自分の熱。
体温調節がうまくできなくなったみたいだ。

私たちの上を滑っていく風も涼しいけれど。
こうしてくっついている方がいい…

心地よさを求めてしつこく擦り寄る私を
天元は咎めるでもやめさせるでもなく
好きにさせていてくれた。

それをいい事に、私はやりすぎたんだと思う…
























今日は特別暑かった。

夏も夏。
真っ盛りだ。

少しでも涼を取りたくて
睦が絶対ぇに気にいるものを手に入れた。

それを早く見せてやりたくて
廊下を足速に進み、部屋の襖を開けると、
真ん中より少しだけ縁側寄りに
ぱったりと倒れ込んだ睦の姿。

その瞬間、俺はもうそれどころではなくなった。




だが、ただの昼寝だと言っているし
見た感じウソをついているふうでもなかった為
まぁこの暑さだし、ホントに倒れる前に
昼寝くらいしておいた方がいいと思ったのだが…

いかんせんこの陽気。
強い日差しの照り返しは
障子の隔たりがあるとは言え
瞼を刺激するには充分で…

俺はその明るすぎる陽射しと
睦の間に入り込み
しかめっ面をしたまま寝入ろうとしていた女の救済を試みた。

日陰を作ってやった所で、
ふと気がついたのは
風を入れたらいいんじゃねぇかという事だった。
俺がいるんだから眩しいのは回避できるだろう。
あとは風だ。

障子を開け放つと思った通りいい風が入る。

しかしそこで新たな問題発生。
俺が風除けになっているという事だ。


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