第37章 初恋
陰裂を確かめるように這わされる指。
「やぁ、あ、ん…」
嘘みたいに
簡単に洩れる甘い声。
期待してた?って訊かれてもおかしくない。
でもそこを何度も擦られると
どうしようもなく声が上がってしまう。
「ん…もっと…」
つぷりと、入り口に指を立てられた。
挿入の、期待と緊張が攻め寄せる。
「ひ、んんっあ、あ、…っ」
「こら、息つめんな。逃せ…」
「や、ぁあ、っ、…」
のがすって、どうやって…
私はまだ、そんな余裕ありません…
こうやって身体を重ねるのだって
まだ数える程度だよ。
この人の、その余裕が憎らしい…
と、
思ったけれど、
荒い息遣いや、
私の手首を掴む力の強さ…
何かを堪えるような身体の震えに
余裕なんか微塵も感じられなかった。
…おなじ?
この人も、私と同じかなぁ?
そう思ったら
なんだかとっても愛しくて
自分がこれからどんな目に遭うのかも忘れて
彼の手に全てを委ねてしまうのだった…
「ねぇ……?」
ふと気がつくと、
私は天井と向き合っていて、
数え切れないほど受け止めてきた
愛しい重さが上に乗っかっていた。
昔のことを思い出していたおかげで
まっったく気がつかなかったけれど…
「んー」
「なぜこんな…?」
「何回呼んでも無反応だったからよ、
押し倒しても文句ねぇかなぁって」
どうしたらそんな考えに及ぶのか…
「昔の優しい天元を思い出してたんだよ」
「…あれ?今は、優しくねぇと」
心外だとばかり、
悪戯をしていた私の首筋から顔を上げて
目を見張った。
あらあら…。
言い方が悪かった。
「とんでもない。でも、
昔の優しさとはちょっとだけ変わったの。
何が?…って言われても
どうとは言えないけど…」
「そりゃ今は
恋しながら愛しちゃってるから、
全然違うんじゃねぇの」
こっちが照れるくらいの相変わらずな台詞。
でも、
「私、そうやって言ってもらうの大好き」
「あーあ、俺に毒されちまったなぁ」
「しょうがないよね、
ずっと一緒にいるんだもん」
「そうかそうか。じゃもっと一緒にいて
もっとおかしくしてやんねぇと…」