第37章 初恋

そうやって、
またシワを深めた睦が
可愛くて可愛くて、
そりゃあもう我慢なんか出来なくて…
逸らせないように両手で耳の辺りを包み
真正面から口づけた。

すると同じように俺の耳元を両手で掴んで
離れようとぐっと力を入れる。

離れる意味が見つからない。
…だから離れないが、

「…ん、ゆ…」

睦は睦で
離れたい理由がありそうだ。
口づけに邪魔されながらも
何とか紡ごうとする言葉を
わざと、邪魔してやるのに、

「んん…っ、あ、み…っ」

それでも頑張る睦に免じて
唇を解放してやる。

「なんだよ」

「…湯浴みする、所だったんです」

……へぇ。

「そんな事か」

期待したほどの内容じゃなかった。
故に口づけ続行。

「そん、な事って…！」

迫る俺に、力いっぱいの抵抗を見せる。
でもまぁ睦の抵抗なんて
俺にとっては無いのと同じだ。

嚙み付くような口づけを繰り返すと
溺れてしまったのか
何も言わなくなった。
たまに、
思い出したように背中を反らし
ソレから逃げ出すような素振りを見せる。

危うく離れてしまいそうになった唇。
背中を抱き寄せて

「ぎゅってするの」

はっきりと告げた。

「……っ」

返事をされる前に
再び口唇を塞ぐ。

この流れで、風呂の為に睦を離す？
…いやー……ムリだ。

「う、ずいさ…っん、やめ、…っ」

あー…そうやってちょっと抵抗されるくらいが
すっげぇ燃えるんだけど。
だからって抵抗されなかったら
結局そのまま続けるんだがな。
…結局同じだ。

「じゃ…、そのあと入るか？先に、俺」

甘い唇を啄みながらそう提案するも、

「それじゃ、…意味な、い…！」

即却下されてしまう。

「俺だって…このまま、だぞ？」

「宇髄さんは、…いい」

なんでだ。
いちいち可愛いことを…

「俺も、いいの…」

わざわざ身を清めたりしなくても
睦は甘くていい香り。

「今日…っ暑かった、から！」

汗をかいた、と言いたいのだろうが…。

「へぇ…だからいい匂いすんのか」

鼻先を首筋に充て
思った事を伝える。