• テキストサイズ

【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第37章 初恋





夜は任務。
強いや弱いや、
その時々で鬼の
強さもタイプも違う。
なかなか強いのには
出会えないよな…

ただ、
たまに手を焼く鬼もいる。

あんまり大怪我を負った状態で会いに行けば
睦を心配させるだけだ。
そんな時は
仕方なく屋敷へ直帰。

でも、軽い怪我程度なら
怖がらせることもないかと、
そんな日は睦の家に立ち寄るのだ。



と、

思ったから寄ったというのに。


「何ですかそのケガ⁉︎」

泣きそうな顔の睦が
駆け寄って来て俺の腕に縋りついた。

確かに腕をケガしたよ。
見る人によっては軽くはないのかもしれない。
割とザックリ行ってるから。
でも俺にとっては
ほんの切り傷と同じだったんだ。

「こんなモンほっときゃ治る。
それより、」

「こんなモンじゃありません!」

俺の言葉を遮った睦が
その腕をむんずと掴み
ずんずん廊下の奥へと引っ張っていく。

部屋に入ると
ぱっと俺を置いて
小さな箱を持って戻って来たと思ったら

「座って下さい!」

目にいっぱい涙を溜めているくせに
叱りつけるようにぴしゃりと言った。

「…なぁ、泣くなよ。
そんな顔させる為に来たんじゃねぇよ」

「泣いてません!」

「でもそれ、」

「泣いてません‼︎」

「あー…あぁ、」

泣いてねぇ事にしとけと…
そういう事か?

その場にどさっと座り込むと
静かに隣に膝をついて
持ってきた小箱をパカっと開けた。

中には軟膏やらガーゼやら…

手当するって事か。

「睦、そんな事お前がしなくていい。
それより俺、睦と…」

「手当てが先です!
こんなに深い傷…バイ菌でも入ったら…!」

睦に会いたい一心で
そのまま急いで駆けつけたけれど
こんな事ならその辺にいた隠にでも
手当てしてもらっとくんだった。

…こんなかすり傷、と思ったのが間違いだ。
睦から見たら『大怪我』なのだ。

消毒液に浸した手拭いが
そっと腕に押し当てられる。
ちらっと見遣ると
睦は今にも零れそうな涙を
必死に堪えていた。


/ 2219ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp