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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第36章 満つ





その場に僕が現れなかったら
皐月を悲しませる事になるもんね。

「……」

返事もせずに
そんな事を考えていた僕を見て

「睦が悲しむだろ?」

とんちんかんな事を言い出した。
……………

「あのさぁ…」

呆れて物も言えない、なんて事
ほんとにあるのだろうか。
僕なんて、
呆れて言いたい事だらけだけど…。

「ウソでもいいから
皐月のために、って言えないもの?」

なんでいっつもお母さんなんだよ。
…いやわかるけども。

「…何でウソなんかつかなきゃならねぇんだ」

「言葉のアヤです。
だって今日は皐月の大切な日でしょ?」

「その大切な日を祝おうと
睦が!がんばってんだよ。
悲しませるような結果になったら許さねぇぞ」

「僕がいなかったら皐月が!悲しむから
絶対に夕食は戴きますー」

「おー絶対ぇ忘れんなよ」

「絶対忘れないもんね」

皐月を挟んで、
そんな言い合いをしていると

「…ただ今帰りましたけど、
何をくだらない言い合いをしてるの」

出先から戻ったお姉ちゃんが
心底呆れたような顔で僕らの間に立っていた。

「おーお疲れ」

「おかえり…」

お姉ちゃんは大きなため息をついて、

「お互いに自分の女を大切にするのはいいけど…」

そう前置きをしてから、
ぱっと僕の方を向き…。

「さっきから皐月がすっごく困ってる!
わけのわからない言い合いに巻き込まれて
可哀想よ!」

「……あ…はい、ごめん…」

僕が皐月に謝っている間に
今度はお父さんを振り返る。

「お母さんが睦月の死んだ具合がわからなくて
泣きそうになってるよ!
そんなに大切なお母さんを放置とか
あり得ないんですけど!」

「やべぇ!悪ィ行ってくる」

すっくと立ち上がったお父さんは
疾風のようにこの場を去った…。
さすが、お母さんが絡むとものすごい力を
発揮する。

残された僕らは、
その背中を眺めていたが、

「……お母さんが、泣きそう…?」

疑問を口にした。
するとお姉ちゃんは僕に冷たい目を向けて、

「お母さんがそんな事で泣くわけないでしょ。
めちゃくちゃ怒ってたんだよ。
様子がわからなくてそりゃもうイライラよ」

ちょっとだけ面白そうに言った。


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