第7章 予定調和
「…大丈夫か。そんなにムリさせたか?」
急に心配になって、
やっぱり
起こしたりしなきゃよかったかと後悔したり…
「睦。おい、どうした」
「…宇髄、さん…」
「何だ?」
「……」
「何だよ、おい?」
「うん…」
「?……大丈夫か?」
本格的に心配になった俺は
睦の頭を引き寄せて何度も撫でた。
「…大丈夫です。…ごめんなさい宇髄さんが…
いるんだなぁって思って…」
「…あぁ…」
俺はそんな返事しか出来なかった。
体調が悪いんじゃなく、
俺を、実感してたって事?なのか?
そんな睦はやっぱり可愛くて、
でも、申し訳なくて。
「…がんばってたご褒美かな。今、すごく幸せです」
「何言ってんだ。お前へのご褒美が
こんなモンで終わるかよ」
俺は、たまらず睦に口づける。
「こんなモンて何ですか。
ご褒美が宇髄さんだなんて、そんな贅沢ないです」
「え…」
え?こいつ何言い出すの?
俺は自分の顔に熱が集まるのを感じた。
「そういう…事じゃねぇんだよ!
こんなモンてのは、俺の程度じゃなくて、…
こんだけじゃ終わんねぇって…っコトだ!」
「えッ!やだ私——」
間違いに気付かされた睦が
ぱっと顔を上げ、た。
そしてばっちり、俺と目が、合った。
「宇髄、さん…」
俺は咄嗟に顔を背ける。
同時に、睦の目を塞いだ。
「見んじゃねぇよ」
「…見ちゃっ…た…」
目を塞ぐ俺の手に、自分のそれを重ねて、
嬉しそうに言う。
「宇髄さん、可愛いとこもあるんですね」
「…お前それ以上言ったら後悔するぞ」
「大好きです」
…言いやがったな。
俺は睦の目を塞いだまま、深く口づけていた。
「…っ⁉︎」
見えていなかった睦は突然の口づけに
心底驚いたようで、最初こそオロオロしていたが、
そのうち俺に絆されたのか素直に受け入れてくれる。
そのまま襲ってしまいそうな勢いの俺には、
ちゃんと抵抗してみせる。
そう。
そうやって抵抗しねぇと、本当に…。
「…ん…って、コレ…だめ…」
でも俺だって、ゆずってやんねぇよ?
睦は目隠しを外そうとしてるのか、
俺の指を握りしめてくる。
程よい力で握られている指が、喜んでる。
こいつが、腕の中にいる。…