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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第36章 満つ





「そうだったの……」

弥生の功績を
私が奪ってしまったようで
少し申し訳ない…。

「でも、睦月はお姉ちゃん子だから
わざわざそんな事する必要ないと思うな…」

ん?

「ならどうして天元は知ってたの?」

作っている所をみていたわけでもないのに。

「俺はお前が作った料理はわかるのー」

「そうですか…」

前々からそんな事を言われていたんだっけ。
そんなわけないと半信半疑だったけど、
あながちウソではないのかな…。

でも、誰が作ったかなんてわかるもの?
玉子焼きとかなら、
なんとなくわかる気がするけれど、
お味噌汁なんて
誰が作っても同じ味にならないだろうか…?

首をひねる私に、

「わかるんだよ」

納得するように促した。

「ふふ…うん、ありがと」

素直にお礼を言って、
お鍋の火を止めた。
味噌のいい香りが私の鼻腔をくすぐり、
朝食を抜いた事も手伝ってか、
食欲が増していく。

2人分のうどんを器によそうと、
ふと、手に持ったおたまに目をやった。
そこに残った少量のお味噌汁を
こくりと飲んでみる…。
…あら、

「……味、薄くない?」

見た目が淡色だから、ただの思い込み?
それとも、お味噌の量がが少なかったから?

「いや、…それ昨日のだろ?
ちゃんと美味かったぞ。
今朝も火入れてるし、
濃くなってるくらいじゃねぇの?」

「そう…?」

天元がそう言うくらいだ。
大丈夫なのだろう。
でもならどうして、私は薄く感じるのか…

私は何か味を足したくて辺りを見回し、
…見つけたソレを、ジッと見つめた。

「………」

無言で口元を指先で押さえた私を見て

「睦?」

天元は不思議そうに首をひねっている。
そして私の目線の先を追って…。

「……おい睦、」

何かに、気がついたようだった。
そう、その通りだ。

「天元…どうしよ…」

覚えがあるぞ。

「お醤油、飲みたいかも…」

私が風邪じゃない事が確定した…
ような気がした。

「…お前…もしかして、」

彼にも、覚えがあるらしい。
確かに
醤油が飲みたいなんておかしな言動、
記憶に残って当たり前だ。


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