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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第36章 満つ





「…だとよ。弥生に任せろ。
睦は休まなきゃだめだ」

「平気平気」

こんなカッコで言った所で
説得力は皆無だけれど。

そう口にした私をジッと睨んで

「……お前の口癖だ。
ウソつく時は2回繰り返すんだよ」

まさかの私の実態を、
白日の元に曝した…。

あんぐりと口を開けたまま、
何も言えなくなった私を
天元はそのまま連れ去った。

「弥生悪ィな。あと頼む」

そうひと言、言い置いてから。




寝室にふかふかの布団を敷いてくれて
そこに私を下ろすと、
帯を解き着物を脱がせ、
襦袢姿のまま横たえてくれる。

「あ、座ってた方が楽か?」

心配そうな目。
申し訳ないのに、何だかとっても嬉しい。

「ううん。こっちがいい…」

枕に頭を乗せて目を閉じると、
大きな手が、そっと髪を撫でてくれた。

その手を取って、ほっぺたにあてる。

あぁ、安心…。

こうしてもらって、
知らず、不安を抱えていた事を初めて知った。
体調が悪いと、
気づかないうちに不安になりがちだ。

親指の腹で、よしよしとさすってくれるのが
ひどく心地いい。

その感触に酔っていると、

「少し休め。大丈夫だから」

優しい声が耳に届いた。

「季節の変わり目だからなぁ。
弱かったもんな、」

この人の声を聞いていると、
心が休まって、
気が緩んで、
私の色んなものが機能しなくなる。

でも天元の言う通り、
季節の変わり目は
私がいつも体調を崩す時。
小さい頃から高熱にうなされていた。

「熱出す前に、ゆっくり休め。
眠るまでいてやるから」

「…ほんと?」

「あぁ」

私は目をぱちりと開いた。

「でも、ごはん…」

本気で心配したのに、
天元はぷっと吹き出した。

「お前なぁ。俺らそんなに卑しくねぇよ。
こっちの事はいいから、…ほら、もう黙れ」

そう言って、優しく口づけをくれた。
まるでおやすみのあいさつのようで、
私は魔法にでもかけられたみたいに
深い眠りに落ちていた。






ふと、優しいぬくもりを覚えて目を開く。
辺りは薄明るくて、
もう朝なんだと、寝惚けた頭で考えた。

随分と長いこと眠ってしまったみたい。


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