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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第35章 満天の星の下





私を抱きしめた時に感じただろう
身体の冷え。
だから、きっと言うだろうと思っていた。

「……」

「…ん?」

入りたくない。

「…ヤなんだろ?」

そんなの分かりきっている天元は
ごく自然に私の気持ちを代弁してくれる。

「うん…もっと見ていたい」

だから私も、安心して本心を曝け出せた。
だってもう
バレてるし。

「わかるけどな、冷えるしな?」

「もうちょっとだけ…!
だってこんな空、なかなか見られないでしょ?」

「まぁ見事だよ、この空は」

言いながら縁側に手をついて
後傾姿勢になった所へついていかされる。

空いっぱいに散りばめられた星屑。
それが群れをなして流れ落ちる。
澄み渡った空に輝くそれらが
私の目も心も惹きつけてやまないのだ。

「でもお前の方が大切なんだけど?」

「んー…見てたい…」

「だって終わらねぇじゃねぇか」

私から空へと視線を移し、
肩に頭を乗せて呆れる。

……あれ、もしかして、

「飽きた?」

そんな気がした。
言われた天元は
じろりと目だけを私に向けて

「飽きたんじゃねぇよ。
お前の心配してんだろ。
足だって良くねぇのに」

「あぁ…そっか。
ごめんなさい」

私は真っ白な包帯を巻かれた右足に目をやった。

素直に謝ってしまった私に、
参りましたと言わんばかり
大きなため息をつく。

「謝るなよ。したいようにすりゃいいけどよ…
冷えくらいあっためてやれるし」

心配を拭えない瞳で私を見下ろして
それでも仕方ないように微笑んで、
よっこらしょ、と
私の身体を持ち上げる。

自分に対して横向きに座らせて
羽織の中に入れてくれた。

「初夏といえど、夜は冷えますな」

それを更に両腕で包んでくれて
私はもう幸せでいっぱいだ。

「おぉ、幸せそうだな睦」

「……だから、…私そんなにわかりやすい?」

「驚くほどな」

そう即答されて、
私はもう笑うしかなかった。
全身を擦り寄せた天元は

「俺に、気を許してる証拠だな」

つられて嬉しそうに笑った。
そんな事を、こんなに喜んでもらえるんだな。

「お前がそうなれるのは俺だけだから、」

「…?」

「だから離したくねぇの」


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