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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第35章 満天の星の下





たった今受けた衝撃の方が
痛いに決まっている。

「やべ…マジで?悪ィ…」

痛みを紛らわせようというのか
ちゅっとおでこに口づけた。

「今お前が考えるのは来世の事じゃなくて
今夜なにを食うかだ」

真面目に言う天元に、

「じゃあ玉子焼き」

私も真面目に答えたのに、

「可愛いねぇ睦ちゃんは」

今度はほっぺたに唇をよせる。
なにそれ!

「バカにしてるの?」

「何でだよ、可愛いっつったろうが」

「どうだか…」

茶化されているようにしか聞こえなかった。

「俺の本気を見せてやる」

ムッと、への字口にして
天元はすっくと立ち上がる。

「絶対ぇ歩くなよ!
用があったら大声で呼べ」

そう言い置いて、天元は台所へ向かって行った。





本気を見せる

その宣言通り、天元は
ものすごくおいしくて、
ものすごく大きなだし巻き玉子を焼いてくれた。

しかも、味はばっちり私好み。

残った野菜を放り込んだお味噌も
出汁がきいていてとってもおいしかった。

もしかして天元が作った方が
おいしく戴けるんじゃないかと思うほど。
……即却下されたけど。


そして今——

「あっまた!」

2人空を見上げて
流れる星を見ていた。
さっきからいくつもの星が流れて落ちる。

星がひとつ流れるたびに
誰かが空へと旅立つ、と言った私を
『迷信だ』と一蹴した天元は
空を指差して、星の形を教えてくれた。

その間にも
星はいくつも流れて行った。

「綺麗だね!今日はどうして
こんなに星が流れていくのかな…」

「ちょうど月もねぇしな。
ホントに綺麗だなぁ」

感嘆の声を上げる天元は
私の肩を抱く腕に力を込めた。
少し冷えた、
夜の空気に身を震わせていた私は
ちょうどよく訪れた温もりに身を委ねる。

布団を敷き、夜着に着替えて
寝る準備は万端。
雨戸をしめようかと縁側に出て、
空の違いに気がついた。

そこから
座り込んで星を眺めているうちに
体はすっかり冷えてしまっていた。
私はこうして抱きしめられて
いつ、その台詞を言われてしまうのかと
気が気じゃなかった…

「冷えて来たな。もう入ろう」

ホラ、その台詞…。


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