第35章 満天の星の下
「だめぇ…んっあ、天元っ…
おか、しく、なっちゃ、うぅ…ッ」
「ん、俺でおかしくなったとこ、見たい。
睦…」
小さな顎を掴み
振り向かせる。
目が合うと恥ずかしそうに伏せ、
「や、だ…ッ、んあぁっ見ちゃやだぁ…!」
緩くて強い刺激に
可愛い声を上げた。
いつまで経っても恥ずかしがりは変わらず。
それを虐めたくなる俺も、変わらず…
そろそろ、俺の気を良くしちまう事に
気が付かないモンかね。
快感に溺れる睦には
振り切るだけの力もない。
ただ俺に突き上げられ
委ねるだけだ。
その姿がまた、俺の征服欲を満たす。
睦に優しくしたい。
でも、俺の思い通りにもしたい…
もっと…
「もっと溺れてろ…
俺だけ、見てろ」
「んっあ、…すき、っひぁ!」
いつもより全然緩い動きでも、
キツく閉じさせた脚のせいか
充分事足りる。
「まっ、…や、ぁ、イっ…ん、」
それは、俺だけじゃなかった。
唇を合わせると
呆気なく絶頂を迎え…
まだイかない俺に
しつこく付き合わされる事になるのだった。
そんな日の朝の事だ。
その事故が、起きたのは。
涼やかな風の吹く縁側に座りこみ
気持ちよく陽を浴びていた俺の耳に
ビタン!、というか
ドサっ!というか…
とりあえず何かを
高い所から落としたような音がして
バチっと目を開けた。
音源に顔を向けると
縁側の下に転がる睦の姿が目に入る。
「………」
「………」
…まさかとは思うが、
縁側から落ちた…?
「睦‼︎」
☆
私には、妙な願掛けの仕方があって……
それを願掛け、というのかどうかは
わからないけれど、
とりあえず
私のほんの気持ちの整理の仕方というか…。
今、私の愛しい人が、
ソファに座ってテレビを見ている。
見ているって言っても、
することもなくてヒマだから
賑やかしの為につけているだけだ。
そして私と言えば…
彼のいるリビングからは少し離れた、
キッチンのカウンターの中から
その様子をこっそり窺っていた。
一人暮らしをしていたにしては
広い部屋。
私が来た所で何の支障もないくらい…。