第35章 満天の星の下
でもそれは杞憂に終わった。
「…っあ、てん、げんに、
してもら、うのがすき…っん…!」
「…ちょっと…」
ちょっと待てよ…。
あぁ、相変わらずの模範解答…
まさかこんな素直に答えるとは
予想もしなかった事だ。
…俺、優しくしなきゃだめかな。
さっきから睦の一挙一投足が
俺に刺さって仕方ない。
それが俺の腰を直撃し、
愛しい睦を
もっと愛したくて仕方がなくなるのだ。
でも今はこんな状況。
大切な睦を、
壊してしまうワケにはいかない。
わかっているのに…
そんな可愛い事を言われては
己を律する事がかなうだろうか…
こと睦に関しては
ひどく弱い俺…
「あ、…そ、れ…っ、もっと…」
俺の葛藤など知る由もない睦は
まぁ好き勝手言ってくれる。
「だぁめ…優しく、な…?」
ものすごい精神力を駆使して
やっと吐き出したひと言。
「んや、いつも…みたいにもっとして…っ
たり、ない…」
それをこいつは
見事に打ち砕いてみせた。
そのひと言が、脳みそを直撃した気分だ。
…いや待てよ、違う違う。
「睦が、言ったん、だぞ…」
優しくしてね、と。
俺は何ともいじらしい事に
必死に己を抑え込み、
睦の言いつけを守っている所だ。
細かくナカを擦り上げ刺激を送ると
それだけでも、善さそうに喘いでいるくせに
もっとと強請る。
いやそもそも、誰のためだよ。
俺も律儀に健気な事だ。
「ん…ぁああっ」
奥に押し付けると
言葉を失くし、一際大きく啼いた。
ちゃんと啼く。
充分イイはずなのに
睦はゆらっと、
自ら腰を揺すろうとした。
「こら、」
「あ、ん…だって…は、ぁんんっ」
「だって、じゃねぇ。
ちゃんと…イイ、だろ?」
「あぁイ、イ…っ」
めいっぱい突き挿れたまま
クッと腰を引くと
奥をこじ開けるように角度が変わり、
「んぁあッひぁっんんうぅ」
嬌声も止まらなくなる。
いつもよりゆっくりだから
睦もたまらないだろう。
刻みつけるなような動きが
いつもよりももどかしくて、
なのに強烈な快感を引き出したようだった。