第35章 満天の星の下
「っやだ…!」
「暴れないの…腰痛くしたら
明日1日寝てなくちゃならねぇぞ」
自分の手をどうしても抜きたい睦は
顔だけ振り返りひと睨みすると
再び前を向き
ぎゅうっと布団に沈んだ。
「…っ…ん…」
くぐもった声。
可愛い声を隠そうとしているようだけど…
火照った身体はおさめたいらしく
大きく拒みはしない。
ただ自分の指が入るのは抵抗があるのか
小さく震えて、しかもぎこちなく…
「睦、自分じゃ
善くなれない?」
「ん…、」
「自分で覚えりゃソレもまたイイかもよ?」
「や…天元、の…がいい」
「そんなこと言っちゃうのかよ…」
こうやって
睦の恥ずかしがる姿を
堪能しようかな、なんて思ってたのに…
あーあ、そんな可愛いこと言われたら
もう出来ねぇじゃん。
結局、睦には強く出られねぇし
こいつの言うことには逆らい切れねぇの。
「だって…こんなのヤ…」
「わかったよ…しょうがねぇなぁ」
睦の指ごと引き抜いてやると
びくっと腰を揺らす。
そんな事でも感じているのが愛しくて
その愛が俺の下半身を直撃した。
落ち着け俺…
ゆっくりな、ゆっくり優しく。
……自信ねぇな。
「……して、くれるの?」
「…いいんだろ?」
「やめとけ、って…言わないの?」
心配そうにこちらを見上げる睦。
確かに、いつもなら睦の身体最優先。
睦が元気なら
無理やりすることもままあるけども。
俺が睦を大切にしているのが
ちゃんと浸透しているという事だ。
よかったよかった。
「言わねぇよ」
「…そうなの…?」
「お前我慢できねぇだろ」
「……」
小首を傾げ、
俺の胸の内を探るような目を向けてくる。
「…なんだよ」
「天元も…?」
「ん?俺も?」
何の事かわからず訊き返すと
ひどく言いづらそうに頬を染めた…。
「……したい?」
した、…い……
急激に理解した俺は、
くらりと眩暈がした…
酒を飲ませた覚えはねぇけど…。
酔ってもなくてソレかよ。
「なん…ってコト訊く」
無理無理、もうムリ。
だって何だよ今の。