第35章 満天の星の下
「そんな、つもりないよ…!」
思った通り、くるりとこちらを振り返る。
慌てたような瞳が可愛くて
もっといじめたくなるな。
「ないか?俺にはそう見える」
「あの…ごめんなさい…」
ごめんなさいて…
唐突に謝罪されるのも
なんだかツラいものがある。
「なにがよ。いきなり謝られてもなぁ…」
「あ、…えぇとね、ちょっと…」
恥ずかしそうに目を逸らし
おろおろし始める睦の身体を
こちら向きに返し、
「俺には、何でも話せ。大丈夫だから」
真っ直ぐに目を見た。
睦もそれを見つめて、
俺の思いが通じたのか
「…腰が、へん」
さっきまでの様子がウソのように素直に
事実を簡潔に告げる…
「……腰が…」
ヘン⁉︎
「おい、大ごとだぞ!
俺のせいだな⁉︎ヘンて何だ、痛ぇのか!」
なんて事だ!
今までそんな妙な抱き方をした事は
なかったというのに…
勢い込んで顔を合わせた俺を
落ち着かせようとしたのか
「痛くない…!ちょっと重いだけ」
少し詳しく話してくれる。
「だから、ね?あの…
もっとしたくても…怖いでしょ…」
消え入りそうな声で呟いた。
……
モット、シタクテモ…?
俺の視線に気がついて
「やめて!わかってるから、何も言わないで!」
何も言われないよう、
両手で口を塞いでくる。
まぁ、確かに効果はあるにはあるだろうが…
「…そんな事するより
唇で塞いだ方がより効果的だぞ…?」
甘く塞がれてみたいモンだ。
「えぇっ⁉︎…や、だから、そんな事したら
逆効果でしょ…私も天元も…止まれないもん」
「止まれたとしても止まらねぇな」
意味を成さない両手を掴んで
外させる。
その手を俺の腰に回させた。
「だから…我慢しようと思って夜着を…」
あぁそういうワケなのか。
…だとしてもだ、
我慢と言ったか…?
「我慢してんの…?」
「…うん…してるの…」
「それでか」
「えぇっ…⁉︎こ、これで、…
我慢してるのッ」
「色欲ダダ漏れだけど…?」
「そっそんな事ないよ!意地悪!」
「話をして欲しいなんてごまかすとか
可愛すぎて止まれなくなりそうだわ」