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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第34章 反抗期





「え…」

弥生はすこし呆けたように
その赤色の毛糸で編まれていたものを
両手で広げた。

「お母さん、が、編んでくれたの?」

「うん。前に編んだの、結構傷んでたから…
あんなになるまで使ってくれて嬉しかったの。
これも、また可愛がってあげてくれるかな」

にこにこと穏やかに笑う睦が
なによりも眩しく見えた。
俺の目を刺激した、あの朝日よりも。

弥生はうっすら涙を浮かべ、

「…ありがとうお母さん。
何にも知らなくて、
あんなこと言ってごめんなさい…!」

どんな事を言ったのかはわからねぇが、
睦はそれを、やっぱり笑顔で受け止めた。

「いいのいいの。
それは私が勝手にやった事だし。
弥生に頼まれた事を先にやるべきだったのに」

「ううん…嬉しい…可愛い」

上から下に向かって
色の濃くなっていく肩掛けは
手の込んだ模様に編まれていて
睦の意気込みが
詰め込まれているように見えた。

家事をきっちりこなして、
頼まれごともして、
それ以外もして
あんなん編んで、
俺の相手もして…

すっげぇ悪い事した気分……

だっていつ休んでる?
今朝だって俺より早起きだ。
あの編み物を仕上げていたとしか思えない。

「…見事だなぁ」

つい口をついたひと言に

「あれ…おはよ」

睦がぱっと振り返った。

起きた瞬間、睦の不在に
割と大きな声をあげたと思うのだが…
それも耳に入らないほど集中していたのだろうか。

「……寝起きとはいえ乱れすぎですよ。
娘の前で」

睦はうっすら頬を染めて
しかめっ面になった。

——こうなったのお前のせいじゃん。
…可愛いやつ。

その袖をちょいとめくれば
睦にも、
愛の印がめちゃくちゃついてるのに。

気をやるまで抱いて、
足りなくて追加で何度か愛して、
やっとおさまったのに
夜着を纏っていく姿がまた美しくて
それを乱したくなる欲にかられた。
再び始めると、
こいつは俺を更に欲情させるから
まぁ手に負えねぇ…
つうか、単に俺のせいか。

「はいはい」

その気もないのに
俺は夜着を直すフリをした。

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