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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第34章 反抗期





私はもう最後の手段。
子どもの目も憚らず
天元の腕に甘えて軽く揺すると
ぱっと私を見下ろして

「……そうだな」

にっこり笑って
簡単に納得してくれた。

こんな事でいいの…?

「お母さん絶対可愛い」

「睦月ぃ、それこそ俺への当てつけだよなぁ?」

天元が凄むのもまったく気にならないみたい…

「お父さんはかっこいいのに
お母さんの事になると別人みたいだよね」

あんなにお父さんのことを怖がっていたのに
睦月こそ別人のようだ。
今になって、息子の反抗開始かしら…
この2人はこの2人で、
ややこしそうだなぁ…。

「しゃきっとしてて冷静な判断ができるし
色男で誰にでもモテるのに
お母さんが絡むとうつけ者みたいになっちゃって」

…………

「ちょっと⁉︎」

「え…?」

思わぬ所から声が上がって驚いた睦月は
私に鋭い目を向けた。

「誰に向かってものを言っているの!」

「おい睦…」

繋いだままの私の手を
天元がやめろと引くけれど
止まれるはずがない。

「お父さんがいなかったらこの家はどうなるの!」

ちがうちがう、そんな事よりも、

「私の天元を悪く言ったら許さないからね!」

自分の気持ちが先走った。

「こら睦」

手をもっと強く引かれて
昂ぶった気持ちをおさめるように
そっと抱きしめられ…

一気に血の気が引いた…

弥生と睦月の視線が痛い。
私は何を言ったんだっけ…

…天元のこと、偉そうに言えないのでは…?

ずんと重くのしかかるような空気の中
ひとり上機嫌な天元は、
子どもをあやす時のように
私の背中をぽんぽんと叩きながら

「…見たか睦月」

ひと言放った。
声で表情がわかる。
勝ち誇ったように笑っているに違いない…
『ざまぁみろ』の構えだ。

あぁああ待って…
言い訳をさせてほしい。
でも恥ずかしすぎて顔が上げられない。

何を言ってるの私は。
ばかなのか。

「ほら、可愛いお母さんに言うことはー?」

天元が睦月を促す。

「待って!何も言わなくていい!
ごめんなさい睦月。弥生も、…忘れて」

私が声を張り上げると

「ううん…ごめんなさいお母さん…」

ひどく呆けたように私を見つめながら
睦月がぽつりと謝った。

なぜか睦月は、
暴言を吐かれた天元にではなく、
暴言を吐いた私に謝った…








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