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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第33章 ゆめからの覚醒





「天元…」

「んー…?」

ちゅ、と小さな口づけをほっぺたにくれる。

あったかい…
胸がきゅっとする。

「ほんものだ…」

本物にしか、心は動かない…

「…ニセモノがいたのか?」

きょとんとした天元に、

「夢見てた」

正直に話した。

「天元がいて…一緒にいてくれるの。
手を繋いで、行きたかったところに行ったり
そばにいてくれたり…」

「夢ン中で俺にいてもらっといて
あんなに泣いてたのかよ」

鼻先にちゅっと音を立てる。

「だって私の想像の天元なんだよ、
全然ときめかない…」

「…なん、で」

「本物じゃないからだよ。
抱いてもらっても淋しくなるばっかりだった」

「……お前夢ン中で何してんだよ」

心なしか嬉しそうな声。
攫うように抱きしめられて

その温もりを再確認…

さっきまでとは明らかに違う…
優しさも、あったかさも。

私の、すべてが動かされる。

自分で作り上げた存在なんて
きっとこの世で1番都合がいいだろう。
都合がよくて、独り善がりで
自分の理想通りに違いない。

それなのに…違っていた。
心が動かなかった。

思い通りになんかならないこの人じゃなくちゃ
私はもうだめだ。
見え透いたものなんかいらない。
わかり切った未来なんか欲しくない。
天元と生きること、それは、
私の思い通りにはならないって事だもの。
きっとまた、私たちはケンカもするし
意見が食い違いながら、
優しく寄り添って前に進んでいくの。
それでいい。
それがいい…。

「夢で俺とするほど淋しかったのか」

「ん…どう、かな…」

私の耳たぶを甘嚙みしながら
天元は甘いため息をつく。

「そこはな睦、
淋しかった、って甘えるとこだぞ」

かく言う私も、この人の思い通りにはならないらしい。

「睦の行きたいとこって何処だ?」

「え、…あぁ、私のおうち…」

おばちゃんの、って言うべき?

「…そっか、最近行ってねぇな」

「あ、ん…っ、」

てっきり、唇に降りてくると思っていた口づけは
予想に反して首筋にたどり着いた。

「明日、行くか…?」

そこで喋られると、
息が風になって吹き付けて
ひどくくすぐったいよ…

「…今日、じゃなくて?」


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