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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第32章 ほころぶ





「ねぇ…?」

「ん?」

「いつもと違うことするのって楽しいね」

「……」

「…天元?」

話を途切れさせ、
呆けたように私の事を見つめる天元…

なにか、おかしなこと言ったっけ…?

「…睦、……きれい、だな…」

…………。

「…な、にを…」

「今日の睦、すっげぇ綺麗だ」

極上の笑みを湛えながら
天元がそんな事を言うから、…
しかも、揶揄いじゃない、
ひどく真面目な様子で言うから
私はもう…

「おいおい、隠れんなよ。
綺麗なくせに可愛いなぁ?最強だよお前は」

重箱を抱きしめてそこに顔を隠し照れる私から
それを取り上げて地面に置くと、

「抱きしめるなら、俺」

私を背中ぐるみ抱きしめた。
だから私もその背中に腕を回して
ぎゅうっと力を入れた。

うん。
それは確かに。
お弁当なんか抱きしめたって
ときめかないから。
それならこの人と、愛を分かち合っていたい。

でもさっきから胸が騒がしい。
だけどそれは、全然いやじゃなくて…
むしろいい気持ち。
私はこの人の事が好きなんだなぁって
実感できて、幸せすら感じるんだ。

どんどん力を入れていく私に

「おーおー、へし折られちまいそうだな」

天元はくすりと笑う。

「うそばっかり。
こんなので天元が折れちゃうわけないよ」

「そんなに俺が好き?」

こうやって、
突然話題変換するのも、いつものこと。
そしてそれは決まって、
私の気持ちを確かめたい時。

だから私は、
顔を上げて真っ直ぐに目を見つめてから

「だいすき」

ってちゃんと答えるんだ。
すぐに照れる私だけど、
恥ずかしいことじゃないって
天元が教えてくれたから
そこだけは間違えないようにって
いつも思っているの。

私の答えを聞いた天元は
それは嬉しそうに微笑んで

「俺も好きだ」

はっきりとそう言った。
そうすると嬉しくなって、私も笑う。
更に伝染して、
天元は更に笑みを深める…
幸せな連鎖が止まらない。

大丈夫かなと心配になってくるほど2人の世界だ。
自分には手に負えないや。

「睦…」

名前を呼ばれてハッとする。
そうだった。


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