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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第32章 ほころぶ





「俺に委ねて間違った事が
今までにあったか…?」

それは…

「ない、けど…」

「じゃいいんじゃねぇの?」

…いいのか?
いや、

「良くないと思うな」

納得しきれない私を何とか説得しようと
天元はごりごりとおでこを擦り合わせながら

「絶対に連れて行く。
最高の状態でだ」

強い調子で迫ってきた。

…押しに弱い事を知り尽くされている私。
あとひと言で崖から突き落とされる勢いだ。
でもただ落とされるのもつまらない。

「…じゃあ『いいコト』が何か教えてくれたら」

「教えてほしいのか?
お楽しみにせずに?」

「だって、…ちゃんと知りたいもの」

この人の事だから、
悪いようにはしないだろう。
だけど…万が一、私の思考を飛び抜けていたら…
と思うとちょっと怖い。

「教えたら、してくれんの?」

「…天元の出した答えが
間違っていなければ、」

なんで、花見に行くと言いながら
まだこんな事をしているのか。
何の意図があっての行動なのか。
この後どうするつもりでいるのか。

…その答えが間違っていなければ。

「絶対ぇ正解だけど、いいんだな」

「……じゃあいい」

「お前なぁ…。まぁどっちにしろ抱くけどな」

「うそつき!」

そんな事だろうと思った!






日が傾き始めた頃。
忙しそうに行き交う人々の脇を抜け
私たちは町を出る。
荷物は天元の手の中。
ゆったり歩く彼の後を
私は小走りについて行った。



詐欺まがいな目に遭い、
きっちり愛の確認をした後、
布団の中、2人でごろごろしながら
天元の出した、さっきの答えは、…。

「せっかくだし、夜桜にしないか」

それを聞いて私は一瞬にして舞い上がった。

——が。

「暗くて何も見えないんじゃない?」

ふとよぎる疑問。
だがそんなもの、すぐに吹き飛ばすのがこの人だ。

「それが今日は月夜なんだ」

ぱあっと笑顔になる私を見て
天元もふわっと笑顔を咲かせた。
それを見て更に嬉しくなった私は
自分の胸元にある彼の顔を覗き込み、

「…そんな事ある?」

訊いてみる。

「あるんだよコレが」

「素敵すぎ!」

「お前ならそう言うと思ってた」

脇腹から背中に回された腕が
強く絡められて行った。


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